うつ病と脳の炎症の知識
現在、うつ治療の現場でもっとも標準的に処方されている薬は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬です。
うつと診断されたら、まずは、ほとんどの場合、この薬を出されるわけです。
そして、SSRIは、脳内化学物質のひとつ、セロトニンを増やすことを主とするとされています。
脳の中のセロトニンが減って、うつになるといわれていましたが、それはまちがいと考えられています。
うつという病気がますます身近になり、メディアなどを通じて、情報も大量に飛びかうようになったなか、まことしやかに広まったのが、うつの原因はこのセロトニンの欠乏だとする説です。
セロトニンとは脳内にある化学物質で、落ち込んだ気分を安定させたり、不安感や恐怖感にブレーキをかけたりする働きをしていて、セロトニンが脳の中で足りなくなると感情が不安定になったり、ちょっとネガティブなことがあっただけでものすごく不安になったり、死にたいほど苦しくなったりしてしまうというものです。
しかし、うつとはそんな単純なものではないのです。
たしかに、セロトニンは脳の中で大切な働きをしていると考えられていますし、うつの発症にまったく無関係とはいえませんが、これだけが原因だとするのはあまりにも乱暴な考え方なのです。
この通称『セロトニン仮説』、もともとは欧米から入ってきたもので、医学的な仮説のひとつではあったのですが、製薬会社がセロトニンを増やす薬であるSSRIの販売促進のために、その重要性を強調して発信していた情報が広まったものだといわれています。
慣習的に、医師の多くは製薬会社の情報をたよりにしがちです。
そのために、ごく最近までこの説ばかりが広まって、研究者などひと握りの専門家を除く、多くの医師がこれを信じてきました。
そして、それが一般の人々にも知られるようになったのです。
うつ病がんばるな!
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