メタボは危険因子が複数重なる
高血圧、肥満、糖尿病、脂質代謝異常は、生活習慣が大きくかかわる病気です。
どれ一つとつても動脈硬化性心血管疾患の危険因子ですが、困ったことに互いに合併しやすいという特徴があります。
高血圧と肥満、糖尿病と高血圧というように、複数の病気を持っていると、どれか一つだけを持っている場合に比べ、動脈硬化性心血管疾患の危険性が高くなります。
この数年、メタポリックシンドロームという言葉がよく聞かれるようになりました。
テレビや新聞だけでなく、日常の会話にも「メタボ」という言葉が飛びかっています。
メタポリックシンドロームというのは、腹部肥満に加えて、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常があると、動脈硬化が進みやすいことから登場した概念です。
腹囲が何Cmかではなく、内臓脂肪が蓄積し、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常を伴うと、動脈硬化に拍車がかかるという事実です。
メタポリックシンドロームという概念は、これらの因子を複数併せ持つと、動脈硬化から冠動脈疾患や虚血性心疾患、脳血管疾患の危険性が高まることを、警告しているのです。
日本人女性のメタポリックシンドロームと虚血性心疾患、脳卒中のリスクについての研究結果は、メタポリックシンドロームの人は男性では非メタボの男性に比べて虚血性心疾患のリスクは2.4倍、脳卒中のリスクは2倍高まり、女性ではそれぞれ2.3倍、1.5倍高まると報告されています。
また男女とも、高血圧、高中性脂肪、低HDL血症が、虚血性心疾患ならびに脳卒中のリスク因子であったと報告されています。
高血圧や糖尿病、脂質異常、そして肥満は、どれか一つだけでも動脈硬化性疾患の危険因子となりますが、メタポリックシンドロームで問題にされるように、複数重なると、危険性はきわめて高くなります。
こうした危険因子は、一つずつ取り除いていかなければなりませんが、互いに深くかかわり合っているということを知っておくことが大切です。
脂質異常症の治療は、脂質異常症に伴って進行する動脈硬化、その結果引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞を予防することが目標です。
原則は、薬の服用よりも生活習慣の改善をし、心筋梗塞や脳梗塞を末病の段階で予防することです。
当然、閉経後の女性に対しても、生活習慣の改善が第一で、生活習慣の改善に対して数々の努力を重ねたにもかかわらず、管理目標値を達成できない場合に、個々に応じた薬物療法を行うことが推奨されるのですが、ここで、女性にも同じ管理目標値でよいのかという問題があります。
研究を見ると、総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールは、ライフサイクルと照らし合わせてみると、男性では40〜50歳代に高く、高齢になるにつれ低下していきます。
これに対して、女性では更年期以降に急速に高くなっていき、男女ではぼ正反対のカーブを示しています。
海外では、10年以内に冠動脈疾患を発症する危険率の診断や治療目標などで、性差や年齢差が考慮されることは当然とされています。
米国では、虚血性心疾患は男女を問わず死因の第一位であり、高齢化社会の中で増加傾向にある疾患です。
1980年代後半より、症状の現れ方や個々の危険因子の影響の仕方などに男女差があることが認識されるようになりました。
女性では閉経などの男性にはない因子があるため、診断と治療に際しては、特別な集団として分けて扱う必要があるとされました。
危険度に応じてコレステロール低下薬の投与を決める欧米では、虚血性心疾患予防のためのコレステロール低下薬の使用比率が、女性は男性の3分の1に過ぎません。
一方、日本では男性1に対して女性が2の割合で薬が使われています。
閉経後急速にコレステロール値が上昇する女性に対しては、本来なら生活習慣の改善が徹底的に指導されるべきですが、安易に投薬で済まされている実態が浮かびます。
日本女性の場合、虚血性心疾患による死亡は75歳以上の高齢者が中心です。
脂質の影響を受けると思われる中年期と75歳以前の高齢者では、男性の4分の1にとどまっています。
日本人女性でコレステロール低下薬が本当に必要なのは、現在の6分の1程度ではないかと推察されます。
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