女性ホルモンと脂質の変化
脂質異常症は食生活や生活習慣の乱れ、遺伝的要因などで引き起こされます。
ところが、女性の場合、脂質異常症の最大の原因は、閉経に伴って起こる女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
男性では、総コレステロール(TC)、LDLコレステロール(LDL−C)、HDLコレステロール(HDL−C)、中性脂肪(TG)のすべての脂質が40〜50歳をピークとして加齢に伴い低下していきます。
一方、女性では、総コレステロールは50歳代を境に急速に上昇して男性より高くなり、70歳代まで高値を示します。
それに伴いLDLコレステロールもはぼ同じパターンで推移しています。
中性脂肪は、男性が加齢とともに減少するのに対して、女性では加齢とともに上昇しており、男性とほぼ正反対の変化をしています。
HDLコレステロールは、加齢とともに低下していきますが、閉経による影響は受けません。
生涯を通じて、男性に比べて女性のはうが高いことが確認されています。
このように、ライフサイクルから見てみると、脂質の変化は男女で大きく異なるのです。
女性の場合、50歳前後での総コレステロールの急上昇が卵巣機能の停止による結果であることは、さまざまな研究報告から明らかです。
閉経後あるいは卵巣摘出後、総コレステロール、中性脂肪、1Dlコレステロールの数値は、閉経前に比べて極めて高くなっています。
なお、閉経後にLDLコレステロール値が上昇するのは、肝臓でLDLコレステロールを取り込むLDL受容体が減少するためだとされています。
LDL受容体の減少によって、肝臓へ取り込まれるLDLコレステロールが少なくなり、血中にLDLコレステロールが停滞してしまうのです。
閉経を境に女性の体にはさまざまな変化が生じます。
それは、卵巣のはたらきが衰えることによって、女性ホルモンのエストロゲンがはとんど分泌されなくなるからです。
卵巣の老化は30歳代半ばから始まり、排卵がだんだん不規則になって女性ホルモンの分泌も低下していきます。
こうして月経周期などをコントロールしていた卵巣からの女性ホルモン分泌のバランスは崩れ、やがて排卵は起こらなくなり、月経も停止します、これが閉経です。
閉経年齢には個人差がありますが、平均して50〜51歳、はとんどの女性が55歳頃には閉経を迎えています。
ホルモンのはたらきに変化が起こると、内臓をコントロールしている自律神経も順調にはたらかなくなるため、さまざまなトラブルや不快な症状が生じます。
このような症状は、閉経をはさむ10年前後の時期、つまり更年期に起こるため、更年期症状と呼ばれています。
更年期といわれる期間や、この時期に起こる症状には個人差があります。
全く更年期症状を自覚しないままに過ごす人がいる一方で、うつ症状や倦怠感、めまい、耳鳴り、頭痛、冷え、肩こり、不眠、関節痛、腰痛など多彩な症状に襲われ、寝込んでしまう人もいます。
一般に更年期症状と呼んでいるのは、このような身体症状や精神症状のことです。
しかし、こうした症状がはっきり表面に出てくるかこないかに関係なく、閉経を境とする時期には、誰にも例外なく、体の中でエストロゲンの枯渇による変化が進んでいるのです。
エストロゲンの分泌低下による影響は重大で、血管の拡張機能が弱まって高血圧になったり、インスリンの働きが悪くなってじわじわと高血糖状態になったりします。
また、骨密度が急速に低下し始め、骨粗しょう症が問題になるのもこの頃からです。
コレステロールとの関係では、エストロゲンはLDLコレステロールの肝臓への取り込みを進めるはたらきをしています。
そのため、エストロゲンの分泌が低下すると、LDLコレステロールの肝臓への取り込みが減少して血中に増加し、検診などで脂質異常症と診断されるようになり、動脈硬化を進める危険性が一挙に高まるのです。
このように、女性の体は、閉経を境にさまざまな危険にさらされることになります。
閉経前は血液サラサラを保っていても、閉経後は急速に動脈硬化が進み、狭心症、心筋梗塞などの発症率が高くなります。
そのときになって、初めてエストロゲンの有り難さがわかるのかもしれません。
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