脂質異常症には自覚症状がない

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脂質異常症には自覚症状がない

脂質異常症には、これといってはっきりした自覚症状はなく、健康診断の数値をみて指摘される場合がほとんどで、健診では、血中のLDLコレステロールや中性脂肪が異常に増えた場合や、HDlコレステロールが異常に低くなった場合に脂質異常症と診断されます。

欧米や日本で行われた主として男性を対象とした研究では、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪の数値が高いほど、また、HDLコレステロールの数値が低いほど、冠動脈疾患の発症頻度が高いことが示されています。

現時点では、日本の男女の冠動脈疾患死亡率(人口10万人対)は、男女とも欧米の3分の1から4分の1ですが、10年前には5分の1から10分の1だったことを考えると、年々その差が小さくなっていることがわかります。

動脈硬化性疾患の中でも、心筋梗塞を中心とした心血管系疾患と、脳梗塞・脳出血を中心とした脳血管障害による死亡は、高齢社会の到来により増加傾向にあります。

厚生労働省による統計を見ると、日本人の死因のトップはがんですが、心血管系疾患と脳血管障害による死亡は、がんに次ぐ位置にあり、二つを合わせれば死因の約30%を占めています。

脂質異常症は、血中脂質に異常が起こった状態で、血中脂質の異常というのは、「LDLコレステロールが多すぎる」、「中性脂肪が多すぎる」、あるいは「HDLコレステロールが少なすぎる」状態です。

それぞれ「高LDLコレステロール血症」、「南中性脂肪血症」、「低HDlコレステロール血症」と呼ばれ、脂質異常症といっても、このようにいくつかのタイプがあるのです。



それぞれの基準値については、追って説明しますが、自分がどのタイプなのかを知っておくことが大切です。

どのタイプの脂質異常症であっても、動脈硬化に直接関係することはよく知られています。

なかでも、LDLコレステロール値が高い高LDLコレステロール血症が動脈硬化を促進する最大の危険因子の一つであることは、さまざまな研究によって証明されています。

動脈硬化が起こっている人にLDLコレステロール値を下げる治療を行うと、動脈硬化が抑えられることは、その一例です。

動脈硬化の発生や進行に、それだけLDLコレステロールの与える影響が大きいのです。

動脈硬化が心臓や脳の血管で起これば、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。

首の血管で起これば頸動脈狭窄症、脚の血管で起これば閉塞性動脈硬化症の原因になります。

動脈硬化は、体のどの部分で起きてもさまざまな影響を及ぼします。

動脈硬化の危険因子はいろいろありますが、その中でも高LDLコレステロール血症をはじめとした脂質異常症は、動脈硬化との関係が最も深いことははっきりしています。

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