冠動脈の疾患には男女差がある
動脈硬化の危険因子には、高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症、肥満などがあります。
これらの危険因子は血管内皮細胞を傷つけてアテロームを作り、血管のそのため、血液が流れにくくなったり、プラークが破れて血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすことになるのです。
日本人を対象に、どのような危険因子がどのくらいの強さで心筋梗塞や脳卒中の発生にかかわっているかを調べた貴重な研究結果が、近年相次いで報告され、そこには大きな男女間の差がありました。
研究によると、男性では従来から言われている通り、高血圧、喫煙、糖尿病、高コレステロール血症が危険因子でした。
高血圧のある男性はそうではない男性に比べ4.8倍、喫煙する男性は喫煙しない男性に比べ4.0倍、糖尿病のある男性は糖尿病でない男性に比べ2.9倍、高コレステロール血症の男性はそうではない男性の1.5倍、それぞれ心筋梗塞を発症するリスクが高いことが認められました。
一方、女性では喫煙、糖尿病、高血圧が危険因子として確認されましたが、高コレステロール血症については危険因子として確認されませんでした。
喫煙する女性は喫煙しない女性の8.2倍、糖尿病の女性はそうではない女性の6.1倍、高血圧の女性はそうではない女性の5.0倍、心筋梗塞を発症するリスクが高まることが認められましたが、高コレステロール血症の有無による心筋梗塞の発症に違いは見られなかったのです。
つまり、高コレステロール血症は、男性の場合は心筋梗塞の発症に関係があるものの、女性では危険因子とは言えないということです。
また、他の研究は、日本人男女約1万人(男性4098人、女性5255人)を14年間追跡し、10年後に冠動脈疾患、脳卒中、心血管疾患によって死亡するリスクを性、年齢、収縮期血圧、総コレステロール、血糖値、喫煙という項目について調査したものがあります。
その結果、明らかな男女差が認められました。
男性では従来どおり、年齢、血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙がリスクであることが確認されました。
ところが女性では、年齢と糖尿病、喫煙は、男性と同様にリスクであると判定されましたが、高血圧と高コレステロール血症は冠動脈疾患で死亡する確率を高めるとは必ずしも言えなかったのです。
脳卒中に関しても、コレステロール値の高い人のほうが脳卒中にならないという結果でした。
このように、冠動脈疾患の危険因子には男女で明らかな違いがあることは間違いなく、閉経後、エストロゲンが急激に低下するため、LDLコレステロール値が高くなり、動脈硬化の危険性が増すとはいえ、そのことがただちに冠動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中などの発症率や死亡率を押し上げるわけではないのです。
虚血性心疾患の主要な危険因子は、高血圧、喫煙、脂質異常症、糖尿病などです。
脂質については、飽和脂肪酸の摂取量が多いと総コレステロール値が高く、心筋梗塞の雁患率、死亡率が高いことが報告されています。
HDLコレステロールの低いことも危険因子です。
同じように危険因子を持っていても、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)にかかる率(罹患率)や死亡率には性差があります。
同年齢であれば、男性に比べて女性の雁患率や死亡率は低く、これは世界に共通した現象です。
しかし、閉経後は虚血性心疾患の発症率が増加し、70歳代後半で男性に追いつきます。
また、女性でも危険因子が複数あれば、男性同様に雁患率・死亡率が高くなります。
特に女性の場合、比較的高齢になってから発症することもあって、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの複数の危険因子が重なりやすいという問題があります。
そのため、いったん発症すると進行が早く、重症化しやすいことなどが指摘されています。
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