脂質異常症は動脈硬化を予防する

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脂質異常症は動脈硬化を予防する

脂質異常症の治療は、LDLコレステロールや中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上昇させることにより、動脈硬化を予防することが目標となります。

脂質異常症は動脈硬化を促進して、冠動脈疾患や心血管疾患、脳血管疾患を引き起こしますが、これらの病気には、ほかにもいろいろな危険因子があります。

問題になるのは、脂質異常症以外にどんな危険因子を持っているか、あるいは危険因子がどのくらい重度であるかということです。

高LDLコレステロール血症以外の主要な危険因子は、加齢、高血圧、耐糖能異常を含む糖尿病、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDLコレステロール血症です。

なかでも糖尿病は、他の危険因子よりリスクの高いグループに分類されています。

また、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症がある場合は、すでに冠動脈以外に動脈硬化性疾患を発症しているため、やはりリスクの高いグループに分類されます。

危険因子のうち、加齢を止めたり、家族歴を消したりすることは不可能です。

しかし、高血圧や糖尿病、喫煙は、生活習慣を変えることで、危険性を小さくすることができます。

つまり、心がけ次第ということで、個人の努力で解消可能な危険因子を、一つずつ取り除いていくことができるのです。

血圧は、小学生くらいの年齢では性差は認められませんが、中学生以降、学年が進むにつれて男女の間で差がはっきりしてきます。

女性の血圧は35〜39歳から40〜44歳へ移行するときにボンと上昇し、その後は加齢とともに急速に上がっていきます。



70歳代で男性の血圧に追いつき、血圧での性差がなくなります。

40歳以降の血圧の上昇には、エストロゲンの低下が大きくかかわっています。

女性の卵巣機能は30歳代半ばから低下していき、エストロゲンの分泌が低下して、多くの女性が45〜55歳の時期に閉経を迎えます。

閉経前後のいわゆる更年期は、こうしたエストロゲンの低下に伴い、神経内分泌系のバランスが崩れ、のぼせ、ほてり、動悸などの症状が現れます。

時期を同じくして、血圧も不安定になってきます。

エストロゲンが低下するため、エストロゲンの持つ血管拡張作用や交感神経の抑制作用、ナトリウム利尿作用などが期待できなくなるからです。

そこに運動不足や肥満などのほかの因子も加わって、血圧を上昇させると考えられます。

更年期の女性の場合、ストレスに対する反応が強くなったり精神的に不安定になったりすることもあって、白衣高血圧をはじめとして血圧を上昇させやすい要因が多くなることも知られています。

このような更年期の高血圧に対して、ホルモン補充療法あるいは漢方による治療などが行われることもありますが、降圧効果に関しては十分な成績は示されていません。

更年期障害の治療薬として、ホルモン補充療法のエストロゲンが広く用いられていますが、大量に使うと血圧を上げたり血栓をつくったりする恐れがあるという指摘もあります。

最近では、ホルモン補充療法のエストロゲンは、慎重に少量ずつ使用することが推奨され、そうする限りでは、高血圧を招くことははとんどないようです。

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