排便力を増強する薬剤とは
排便力がまったくない下剤依存症の人に、今まで使っていた下剤を急にやめろというのはむずかしいものです。
そのため食材や薬をうまく組み合わせることで、腸のはたらきをよみがえらせ、便意を復活させるようにします。
酸化マグネシウム、新レシカルポン坐剤、漢方製剤である防風通聖散のなどがあります。
@酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは塩類下剤の一種で、腸内で水分を吸収して腸の内容物の容積を増やすことにより、排便を促す薬で、その主成分であるマグネシウムはミネラルの一種であり、にがりや岩塩、ミネラルウオーターなどの食材にも含有されているものです。
酸化マグネシウムの役割は、結腸内での内容物に水分を貯留させることにあります。
その結果、比較的多量に摂取すると、便がやわらかくなったり、バラバラになるなどして排出されやすくなります。
S状結腸に多く貯留すると便はさらに硬くなり、腸管のフタになってしまいます。
そうなると、ガスはさらに抜けづらくなり、おなかが張ってしまうことになるのです。
そこで、酸化マグネシウムによって軟便にすることで、おなかに溜まったガスを排出されやすくしてあげます。
ただし、大黄、センナ、アロエなどのアントラキノン系の下剤を長期に服用していて大腸メラノーソスが認められる人は、腸管の運動が低下しているためか、酸化マグネシウムを服用するだけで軟便になるものの、腹部膨満感が改善されないケースもあります。
これは、酸化マグネシウムには、硬便をやわらかくする力があるものの、腸管の運動を刺激する力が弱く、それはガスを排出する力が弱いことによるものと示唆されます。
酸化マグネシウムは、長期に多く服用していると、腎臓に負担がかかることがあるので、年に2〜3回程度、血流中のマグネシウム濃度を測定し、正常範囲内であることを確認していれば、安全に服用することができる薬剤です。
A新レシカルポン坐剤
新レシカルポン坐剤は、ドイツで1935年に発売された古い薬で、この薬剤は、坐剤型の便秘治療薬です。
炭酸水素ナトリウムと無水リン酸水素ナトリウムを含有するこの座薬を直腸に入れるとカプセルが溶けて炭酸ガスを発生させ、このガスが直腸粘膜を刺激し直腸反射を促すものです。
便意を促して直腸反射を改善するためには、もってこいの薬剤です。
B防風通聖散
防風通聖散は、カエルの腹のように腹部膨満感を伴うポッコリ型の便秘症に対して有効な漢方薬剤です。
滑石(含水ケイ酸アルミニウムという物質から構成される天然の鉱物)をはじめ、黄ごん(シソ科コガネバナの根)、甘草(マメ科カンゾウの根)など18もの生薬が含まれています。
それら18もの生薬の中にはアントラキノン系下剤である大黄も入っているのですが、この大黄の含有量はひじょうに少ないのです。
この防風通聖散は、便秘に有効とされる漢方薬のなかで、1回服用量あたりの大黄の量が最も少ないものです。
それでいて排便効果は決して弱くありません。
これは、防風通聖散に含まれる防硝(塩類下剤の一種で、天然の含水硫酸ナトリウム)や黄ごん、山しし(バラ科サンザシまたは近縁植物の果実)、生姜(ショウガ根茎)など、消化管に薬理作用を発揮する生薬が8種類も含まれているためです。
たとえば、小腸を刺激する効果が期待できる防硝や、腸管内の輸送を促進するはたらきのある生姜、腸管を弛緩させる薄荷(ペパーミント)などです。
赤ちゃんの便秘にカイテキオリゴ
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