便意がなくなる理由とは

便意がなくなる理由とは

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便意がなくなる理由とは

誰もが生まれつき便秘だったわけではなく、最初は軽度の便秘だったものが、次第に悪化していったはずです。

その原因は、日常のちょっとした行動や、生活習慣の積み重ねの中に潜んでいるのです。

@排便を我慢する

朝なかなかベッドから出られず、おかげでトイレに行く時間がなかったり、仕事中に便意を催しても忙しいからとせっかくの排便の機会を逃してしまう。

こうしたちょっとした我慢を積み重ねていくことが、便秘を招くのです。

A偏った食生活

ダイエットのために朝食を抜く人が増えているようで、この傾向はとくに女性に多くみられます。

しかし、朝食抜きは逆効果で、朝は胃腸の嬬動運動が、もっとも活発になる時間帯です(この時間帯におこる嬬動運動を「大嬬動」といいます)。

朝食を抜くと、胃・結腸反射や大嬬動がおこらなくなり、腸の運動が低下してしまいます。

また、朝食をとったとしてもその量が少ない場合には、1日の食物繊維が不足してしまうため、腸の運動が低下しがちです。

厚生労働省の「平成19年国民健康・栄養調査」によれば、20代女性で約25%、30代男性で約30%が朝食を抜いており、その割合は増加傾向にあるという結果が出ています。

若い女性に便秘が多い背景には、こうした食生活があると思われます。

B不規則な生活

生活パターンの乱れも、排便のリズムを狂わせる大きな原因で、大嬬動は朝が最も活発で、弱いながらもお昼や夕方に出現することもあります。

さらに就寝中にはモチリンというホルモンが分泌されて腸管の運動が続くようになっています。

そうして肛門に向かい自動的に内容物(便)を送り出す腸の機能には、セカンド・ブレイン(腸神経)と自律神経系が大きく関与しています。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、両者のバランスがうまく整うことで、人間は健康を維持できるのです。

ところが、夜更しなどで生活のリズムが狂ってしまったり、旅行中に緊張が高まり交感神経が優位になったりすると、自律神経のはたらきが乱れ胃腸の嬬動運動が抑制され、停滞腸を招き排便力が落ちてしまうのです。

C過大なストレス

ストレスもまた便秘の大きな原因のひとつで、旅先で、一時的に便秘になったりすることがあります。

これはいつもと違う生活パターンにともなう食生活の変化と緊張感が原因で、緊張感が強いと交感神経優位となり、腸管運動が抑制されてしまうのです。

D運動不足

ウォーキングなどの運動によって便秘が改善された経験をもつ人も多く、逆に、病気やケガなどで、長く床についていると便秘がちになります。

これは運動不足が、腸や排便とかかわる筋肉のはたらきを弱めてしまうことが原因だと考えられます。

E開腹手術後

開腹手術がきっかけで、腸の運動機能が急激に低下することがあり、腸や腹膜が炎症を起こして腸管が癒着してんまい、便の通過が妨げられることによるものです。

子宮筋腫などの婦人科系の病気や胃・十二指腸潰瘍、大腸疾患などで開腹手術を行うと、手術の際にできた傷が原因となって腸管同士の癒着、あるいは腸管とほかの臓器との癒着がひきおこされます。

腸管癒着は、ある程度避けられないものとされています。

手術後まもなく、あるいは10年以上もたってからおこる人もおり、その時期は人によってそれぞれ異なります。

オリーブオイルを多く摂取するなど、便のすべりをよくすることが大切です。



F月経前症候群(PMS)

便秘が女性に多い理由には、生理的な要因があり、月経前になると「イライラする」「お腹がはる」というような症状が出る女性は少なくありません。

排卵から月経開始までの時期にあらわれるこうした身体的・精神的な不快な症状を月経前症候(PMS)といいます。

便秘もそのひとつで、若い女性に多くみられる症状です。

排卵から月経までの時期は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が活発になり、このプロゲステロンには腸管の平滑筋の刺激に対する感受性を低下させ、便のもとになる大腸の内容物の水分を吸収する作用があります。

このため、黄体ホルモンの分泌がさかんになると、大腸の嬬動運動が抑制され、便が硬くなってしまうのです。

さらに、便秘が女性に多い理由は、排便に必要な腹筋や横隔膜の筋力が比較的弱いことが考えられます。

G特定の病気の影響や薬の副作用

甲状腺の病気、とくに甲状腺機能低下症においては便秘傾向がみられます。

また、抗うつ剤の副作用として便秘傾向があらわれることもよく知られています。

H加齢

70歳以上の高齢者では、誰でも腸のはたらきの低下により、排便力は弱まるもので、高齢者の腸の中をX線で撮影しながら、便の移動時間を調べた研究では、便の貯留しやすいS状結腸や直腸で特に滞留時間が長くなることが確認されています。

また、大腸の壁の粘膜や筋肉層が年齢とともに萎縮しやすくなるのもその一因です。

大腸の壁の弾力性は20歳代をピークに低下し、とくに排便にかかわる直腸や平滑筋の弾力性は、以後徐々に弱くなっていく傾向にあります。

なお、小腸の筋層間神経叢部分に存在する神経細胞を調べた研究では、高齢者は若年層と比べて神経細胞の密度が約34%も低下しているとの報告があり、おそらく大腸の神経細胞でも同様だと考えられます。

このような神経細胞の減少も排便力を衰えさせる一因だといえます。

I季節の変化による不調

便秘は季節性の原因によっても悪化すると考えられ、1〜2月は、気温の低下が手足や全身の冷えを招く結果、抹消血管が収縮し、交感神経が優位になるので、腸管運動が抑制されてしまうためです。

血行が悪くなると腸に移行する血流も低下しやすくなるので、これもまた腸管運動が抑制される一因になります。

冬場は寒いため、水分をあまりとらなかったり、外出をひかえるなど運動不足にも陥りがちです。

それら複数の原因が重なることで、冬には便秘の症状があらわれやすいと考えられます。

8月頃の夏真っ盛りの便秘は何が原因かは水分不足によるものです。

たくさん汗をかいたにもかかわらず、不足した水分を補給しないと、大腸に移行する水分も大幅に減少してしまいます。

つまり1000ccの水分をとっても900ccは小腸で再吸収されてしまうので、さらなる発汗によって大腸に移行する水分が極端に減少するというわけです。

夏場のクーラーも要注意で、外気との温度差がストレスとなり、交感神経が緊張することで、腸管の運動低下を招くケースもあります。

さらに、クーラーによって過度に手足が冷えてしまった場合も、交感神経が緊張してしまい、腸管運動は抑制されてしまうこともあります。

このように、8月の便秘にもまた様々な要因がからみあっています。

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