噛むことで唾液を出す
食べるという行為は、歯だけで成り立っているわけではなく、歯を支える顎や食べ物を味わう舌の存在も大切で、これらをひとまとめにしたものが口腔です。
まず歯と顎は密接に関わっており、。歯がいくら丈夫でも、顎の力が十分にないと、しっかり噛むことはできません。
顎の力は顎の形として現れ、たとえば、日本人の顎は昔より細くなったといわれています。
確かに、若い人の顔を見ると、エラの張った顔は少なくなり、すらりとした顎の人が多くなりました。
食べたいものが自由に選べるようになると、人は硬いものよりやわらかいものを好むようになり、硬いものより、やわらかいもののほうが食べやすく、また食べる時間も少なくてすみます。
噛まないで、やわらかいものばかり食べる食生活を続けていると、顎はどんどん退化していきます。
よく噛まない生活習慣は、健康という観点からみても、さまざまな弊害があり、一般に噛むことの役割は、食べ物を細かくして、胃や腸の消化吸収の負担を減らすことだといわれています。
もちろん、硬いものを食べるときは、この働きは重要で、噛むことによって得られる体への効果はこれだけではありません。
その一つは、噛むことによって、唾液の分泌がよくなることです。
口の中が酸性になると虫歯になりやすいのですが、唾液は酸を中和する働きがあるので、唾液がよく分泌すれば、虫歯になりにくいことになります。
つまり、よく噛んで、唾液をたっぷり出すことは、虫歯の予防につながるのです。
また唾液には抗菌作用があり、口腔内の体にとって有害な細菌の増殖を抑えたり、死滅させる働きがあります。
唾液がよく出ていれば、虫歯菌や歯周病菌などの増殖も抑えられ、善玉菌が優位な口腔環境にかわってきます。
それによって、口臭も改善されます。
また口は消化管への入り口なので、たとえば体に有害な細菌の侵入をここで食い止められれば、食中毒などを起こさずにすみます。
さらに、高齢者には誤嚥性肺炎という深刻な病気があり、年をとると飲み込む力が衰え、水や食べ物が誤って、気管支や肺に入ってしまうことがあります。
それによって、肺炎を起こしてしまうのです。
肺炎を起こす細菌も口から入りますが、唾液が十分出ていれば、感染を防げる可能性があるのです。
また、よく噛むことは、肥満の予防にもつながります。
やわらかいものばかりを食べていると、どうしても早食いになるが、これが肥満の原因の一つになっています。
食欲というのは、大脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされており、食べたものが消化吸収されると、血液中に糖が取り込まれ、血糖値が上昇します。
その血糖を細胞のエネルギーとして利用するため、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
それによって満腹中枢が刺激され、満腹感が出てきます。
一方、満腹中枢が刺激されると、摂食中枢は抑制されるので、そろそろ食事をやめようと思うようになるのです。
しかし、満腹中枢が刺激されて、満腹だと感じるまでには、食事を始めてから20分程度の時間が必要で、早食いすると、満腹感が現れる前に食べすぎてしまうのです。
逆に、よく噛んで、ゆっくり食事をすれば、少量でも満腹感が得られ、食べすぎを防ぐことができるのです。
肥満、とくに内臓脂肪型の肥満は、メタポリック・シンドローム、いわゆるメタボの原因となります。
メタボというのは、内臓脂肪が蓄積することによって、高血圧、高血糖、脂質異常(コレステロールや中性脂肪の代謝異常)のうち二つ以上が認められる状態をいいます。
そのままにしておくと、高血圧症や糖尿病、脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていた)に進展し、脳卒中や心筋梗塞の危険性を高めます。
よく噛むことは、こうした病気の予防につながるのです。
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