40歳を過ぎると代謝が落ちる
メタポリックシンドロームの定義は、二〇〇五年四月に、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など、入団体によってつくられた診断基準です。
まず内臓脂肪型肥満であり、そのうえで、血圧、血糖、血中脂質の三項目のうち、二つ以上が規定の値を超えた場合を、メタポリックシンドロームといいます。
内臓脂肪型肥満とは、内臓脂肪断面積が一〇〇平方センチメートル以上の状態です。
正確にほMRIなどで検査しますが、その目安としては、ウエストまわりが男性の場合で八五センチメートル以上、女性の場合ほ九〇センチメートル以上としています。
測るときは、お腹を無理にひっこめたりせず、軽く息を吐いた状態でへそまわりを測ります。
服のウエストサイズとは違いますので注意が必要です。
ちなみに、脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があります。
内臓脂肪は内臓の周囲につく脂肪、皮下脂肪は皮膚の下にある皮下組織という部分につく脂肪です。
ウエストまわりが太いわりに、あまり皮膚をつまめないと一いうのも内臓脂肪の特徴です。
女性の場合ほ、太っていても皮下脂肪ということも多いようです。
また、とくに男性の場合、一見痩せているように見えても、実際にほ内臓脂肪がついているという人もいます。
こういう人をいわゆる「隠れ肥満」といいます。
気になる場合は、体組成計などで体脂肪を測定してみます。
成人の男性で一九パーセント、女性で二五パーセントより値が大きいと肥満とされています。
ただし、電気抵抗を用いる体組成計を利用しても、正確に体脂肪、とくに内臓脂肪を測定することは困難なため、目安としての利用ということになります。
メタポリックシンドローム、イコール、即、生活習慣病というわけでほありませんが、その予備軍(選択項目三つのうち、ひとつだけがあてはまる場合)も含め、緊急に現状を改善する必要があるのほ確かです。
いくつかの研究から、メタポリックシンドロームの場合、糖尿病に関しては約九倍、心筋梗塞や脳卒中などは約三倍も、発症率が高くなるといわれています。
このことは、代謝障害が動脈硬化につながり、最後には、心筋梗塞や脳卒中といった恐ろしい病気を発症する危険が高いということを示します。
これらを合わせると、日本人の死因の約三分の二を占めますから、命にかかわるということなのです。
だからといって、早急に脂肪を落さなければと慌てても、脂肪ほ落ちてはくれません。
なぜ、これはど内臓脂肪型肥満が重大な病気を引き起こすのか?
脂肪組織をつくる脂肪細胞は、脂肪の蓄積量が増えると、二〇種類以上の生理活性物質を分泌します。
これらの物質は「アディポサイトカイン」と総称されますが、内臓脂肪は皮下脂肪にくらべ、その分泌活性が数倍も高いという特徴をもちます。
アディポサイトカインは、本来は体に有用な物質として働くのですが、その量が度を超すと、さまざまな「悪さ」をします。
たとえば、アディポサイトカインのなかのTNF−αという物質は、動脈壁に炎症を引き起こし、動脈硬化になりやすくします。
さらに、白血球に働いて、「レジスチン」という物質を分泌させますが、この物質は、脂肪、肝臓、骨格筋などに作用して、インスリンによる糖の取り込みをブロックします。
その結果、インスリンがやってきても、これらの組織がそれに抵抗して糖を取り込んでくれない、すなわち、血糖が下がりにくい「インスリソ抵抗性」を生じ、糖尿病へと進みます。
血糖が高くなると、血管のさまざまなたんばく質が「糖化」し、動脈硬化も進みます。
くわえて、PAI−1というアディポサイトカインは、血液凝固を促進し、血のかたまり(血栓)をできやすくします。
これが、内臓脂肪型肥満から糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞へと至るシナリオの一部です。
現在は予備軍ですらない人でも、加齢による代謝の減少を強く意識していただかないといけないということになります。
なぜならば、年齢を重ねることで、誰でも代謝が落ちる、すなわち体に蓄えられた脂質や糖質をエネルギーとしてうまく使えなくなってくるからです。
つまり、何もしなければ、どんな人でもメタポリックシンドロームに近づいていってしまうということです。
厚生労働省が二〇〇七年に発表した資料によれば、三〇歳から六〇歳代の男性、および六〇歳代の女性の三分の一が肥満に該当、さらに、四〇歳を過ぎた男性の場合、予備軍も含めれば、二人に一人がメタポリックシンドロームに該当します。
なお、現在、メタポリックシンドロームの診断基準については議論がなされていますので、今後、基準値が変更されることがあるかもしれません。
男性でウエストまわり八五センチというのは多くの人が該当してしまうこと、また臨床的に有用性がないのではないか、というのが基準値の変更を求める大きな理由となっているようです。
しかし、この八五センチという数値はともかく、健康に害を及ばすぼどに多くの内臓脂肪がついていることが問題なのです。
高血圧、高血糖、あるいは、血中脂質が高いことに対する個別の治療方法はあります。
しかし、そうした個々の症状に対処するのではなく、余分な内臓脂肪がついているために、こうしたさまざまな症状が引き起こされるのですから、内臓脂肪を減らすという根本的な解決を考えるべきなのです。
男女とも、四〇歳を過ぎると代謝ほ目に見えるかたちで落ち、それによって内臓脂肪はつきやすくなります。
したがって、代謝という面では、男女とも四〇歳をひとつの目安として、代謝の低下をくい止める努力をする必要があるのです。
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