肺がんは早期発見されにくい
肺がんの死亡率が高いのは、発見が遅れることが大きな原因で、反対に、発見が早くて一センチ以下で見つかれば、「レーザー治療」ならわずか一五分ほどで治すことができます。
肺がんも早期発見さえできれば、場所などにもよりますが、そんなに恐れることはないのです。
ところが、発見が遅れて、見つけたときにはもう手遅れになってしまっている肺がんが非常に多いのも事実です。
ひとつには、肺は「沈黙の臓器」といわれるほど非常にタフで、がまん強く、自覚症状がなかなか現れにくいということがあります。
はっきりした症状があれば医療機関を受診して検査すれば発見できるのですが、初期のころは風邪に似た症状があるくらいでつい見過ごしてしまいます。
気づいたときには肺以外に転移していたというケースも決して少なくありません。
また、早期発見のためには肺がん検診が欠かせませんが、日本ではこの肺がん検診がこれまであまり一般的ではなかったのです。
肺の検査は、胸部のレントゲン写真を撮ったことがあるくらいで、ほかの検査を受けた経験はないことが多いのです。
COPDの検査で、スパイロメトリーや、肺がんの早期発見のために必要な気管支鏡検査や喀痰細胞診検査なども、決してポピュラーではありません。
肺がんは検査による発見が難しいということも、早期発見を妨げる原因になっています。
胃や大腸というのは「管空臓器」といって壁が管状になっている空っぼの臓器で、内視鏡などを入れても中を見わたしやすいのです。
がんは壁にできるので発見しやすいし、早期ならがんができた壁の部分だけをそぎ落としやすいわけです。
それに対して、肺や肝臓というのは「実質臓器」で、壁だけではなく、中身が詰まっています。
当然、発見するのが難しいし、そぎ落とすのも困難です。
肺は実質臓器でありながら、肺のなかに気管支という管が張りめぐらされています。
この肺がんは、できる場所によって大きく二つに分かれます。
ひとつは気管や気管から枝分かれした太い気管支にできる「中心型肺がん」で、これは肺がん全体の三割ほどを占め、たばこが原因のがんといえます。
中心型肺がんは、心臓や大動脈などの陰に隠れてしまうせいで、胸部]線検査ではほとんど発見できないのが特徴です。
ピンポン玉くらいにまでがんが大きくなっていても見つからないことがあります。
気管支は枝分かれしてどんどん細くなっていきますが、中心部に近い太い部分には気管支鏡という内視鏡を入れることができます。
したがって、たばこが原因でできるがんの早期発見のためには、気管支鏡検査が有効です。
もっと簡単な検査が、痰のなかにがん細胞が含まれていないかを調べる喀痰細胞診検査です。
この検査は、朝起きたら、うがいをして口のなかを洗ったあと、大きな咳をして出した痰を持参するだけです。
健康保険なら一五〇〇円くらい、健康保険でなくても五〇〇〇円くらいでできます。
たばこを吸う人は、できれば年2回この喀痰細胞診検査を受けることが大切で、中心型肺がんは比較的増殖スピードが早く、一年前は正常だったとしても、一年後には内視鏡的にレーザーを使った治療では治せないほど大きくなってしまうこともあるためです。
一方、先ほど受動喫煙が原因で発症することが多い「末梢型肺がん」は、心臓や大血管などがある身体の中心部から離れている位置にできるので、]線写真に写りやすいといえます。
しかし、]線写真には、心臓や気管支、横隔膜、骨などの陰になることもあり、肺全体の七〜八劃しか写らないのです。
たとえ末梢型であっても、がんが一センチを超える大きさにならないとなかなか見えてこないし、がんができる場所によっては]線に写らないということもあります。
そうなると、やはり年一回の胸部]線検査だけでは不十分だといえ、夫がヘビースモーカーで副流煙によって末梢型肺がんにかかるリスクがある人などはとくに、CT検診を年に1回は受けることが大切です。
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