肺機能検査で肺年齢を診断
肌年齢や見た目年齢というのはあくまでも印象でしかありませんが、肺年齢は肺機能を調べる検査で測定して数値化することができます。
測定は「スパイロメ一夕ー」という器具を使っておこないます。
検査の方法を簡単に説明すると、鼻をクリップでつまんでマウスピースをくわえ、大きく息を吸ってから、一気に吐き出して、全部吐ききるというものです。
これによって、「努力性肺活量(最大限に息を吸ったあとに思いきり吐き出した息の最大量)」「一秒量(最初の一秒間に吐き出せた空気の量)」「一秒率(一秒量÷努力性肺活量×一〇〇)」などがわかります。
肺年齢は、一秒率と、性別、身長から自動的に測定されます。
肺機能の検査といえば、普通、肺活量の測定をイメージするかもしれませんが、肺活量の平均は、女性が二〇〇〇〜三〇〇〇ミリリットル、男性が三〇〇〇〜四〇〇〇ミリリットルくらいです。
しかし、実はこの数字にはあまり意味がなく、普段はだいたい五〇〇〜六〇〇ミリリットルくらいのところで息をしているのです。
肺活量ギリギリまで大きく吸って大きく吐くという必要は、日常生活ではほとんどありません。
肺活量よりも大事なのは、肺年齢がわかる1秒量で、これこそが肺の能力を表す数字で、健康な人は、一秒間あれば、最大限に吸い込んだ空気のほとんどを吐き出すことができるはずです。
ところが、たばこなどが原因で肺機能が低下していると、一気に空気を吐こうとしても気管支が狭窄して息をスムーズに吐き出せなくなってしまいます。
一気に吐き出せないから何度かに分けて吐こうとするため、全部吐ききるのに四秒くらいかかり、その途中で苦しくなってさらに吸い込んでしまう、という悪循環に陥ってしまいます。
ほかの臓器と同じょうに、誰でも加齢によって肺機能は低下しますが、たばこを吸う人は吸わない人に比べて低下のスピードが早く、どちらも二五歳のときの一秒量を一〇〇とすると、たばこを吸わない人は七〇歳を過ぎて七五くらいになるのに、たばこを吸う人は四五歳の時点で同程度で下がってしまいます。
つまり、実年齢は四五歳でも、肺年齢は七〇歳を過ぎているということになるわけです。
ところが、若い人、たとえば四〇蔵前後の女性は、たとえ一秒率がかなり下がっていたとしても、自覚症状がなくて気づかない人も多いのです。
なぜなら、まだ若くて体力があるので、「呼吸筋」と呼ばれる肋間筋や横隔膜などの筋肉を上手に使って、肺のなかに残った空気をしぼり出せるから苦しくならないのです。
実はこれが怖いところで、この人が肺の機能が衰えているのに気づかないまま年をとり、六〇代や七〇代で違う病気、たとえば脳梗塞で倒れて入院したとします。
それによって急激に筋力が衰えると、もともと肺の能力は落ちているわけですから、たとえ命は助かったとしても、息が苦しくなるなどの肺の症状が哀に表面化してしまうことになりかねないのです。
症状が現れてからは、あっという間に深刻な状態になりやすいので、それまで元気だった人が心の準備もないままいきなり、酸素ボンベなしで過ごせなくなるということも十分に予想できます。
もちろん、いきなり症状が現れるということではなく、ジワジワと少しずつ悪化していく人も大勢います。
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