COPDが死亡原因
二〇〇一年におこなわれた大規模調査によると、四〇歳以上の日本人の八・六%がCOPDの疑いがあるといわれ、そこから計算すると、だいたい五〇〇万人以上いるということになります。
高齢者に多い病気で、七〇歳以上に限ると四人に一人がCOPDと推定されます。
平均寿命が延びて、これからますます高齢化社会が進むと、さらに増えていきます。
患者数が多いだけではなく、命にかかわる病気なので、死亡の原因になりえます。
日本では死亡原因の第一〇位、男性では第人位。二〇〇八年の死亡者数は一万五五〇五人(厚生労働省の統計による)で、これも年々、増加傾向にあります。
日本のみならず、COPDは世界の死亡原因でも第四位という高さで、二〇二〇年には第三位になると予想されています。
そんなに問題になっているにもかかわらず、海外でも、日本国内でも、この病気に対する認知度はそれほど高いとはいえませんでした。
そこで、「メタポリックシンドローム」のようになじみやすい名前をつけようということになり、ここ数年は「COPD」と呼ばれていますが、これもあまり覚えやすい略称とはいえません。
COPDになる原因は一部、大気汚染が原因ということもあるのですが、大部分はたばこが原因だからです。
「原因の九五%以上がたばこ」としている報告もあるほどです。
たばこを吸わない人はまず、この病気にはなりませんが、周りの人の煙を日常的に受動喫煙すること(副流煙)で発症する可能性もあるといわれています。
COPDとは、肺がたばこの煙に含まれる有害物質によって破壊される病気ですが、たばこを吸いはじめてすぐに肺が壊されるわけではありません。
人によって個人差はありますが、だいたい二〇年以上の喫煙歴が発症の目安になるといわれています。
近年、日本でも禁煙ブームはかなりの勢いで広がっていますが、発症までにはタイムラグがあることから、一九六〇年代までの喫煙率上昇の影響が尾を引くかたちでCOPDの死亡率は上がっています。
近ごろは若い女性の喫煙率が高まり、二〇〇四年以降は男性の喫煙率は下がっているのに対して、女性の喫煙率はゆるやかに上昇しています。
日本よりも一足早く女性の喫煙率がアップしたアメリカでは、女性の患者数が増加して、男性と同じくらいまで増えています。
指を軽く挟むだけで血中酸素濃度が測れる「パルスオキシメーター」という器具を使うと、正常な人の血液中の酸素濃度は98%前後ですが、若い女性たちは96%くらいしかありません。
これは、胸部の骨格が小さくて肺の容量がもともと少ないのに加えて、姿勢の悪さや深い呼吸をするのに必要な筋肉があまりないことが関係している考えられます。
そういう人たちが若いうちからたばこを吸っていると、確実に七〇歳代ではCOPDを発症することが推測できます。
さらに、たばことの因果関係で重要なことは、二〇年以上喫煙していた人は、たとえその後禁煙したとしても、COPDになるリスクが消えるわけではないということです。
禁煙した時点で、肺にたばこの煙が入ってこなくなるわけですから、もちろん肺の老化スピードは遅らせることができます。
その意味で、禁煙はたいへん意味のあることですが、ダメージを受けた肺は二度と元に戻ることはありません。
禁煙後、加齢による肺機能の衰えによって、過去の喫煙によって受けた肺のダメージがCOPDの症状となって現れることもあるのです。
長年、たばこを吸ってきた人は、「禁煙したからもう大丈夫」と安心することなく、肺年齢を少しでも若返らせる努力をする必要があるのです。
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