依存症の高いニコチン
たばこは肺の健康に悪いということをよく理解しているはずなのに、なかなか禁煙できないのは、単に意志が弱いからという問題ではなく、たばこに含まれるニコチンへの薬物依存の状態になっているからです。
それは「依存症」という、れっきとした病気です。
ニコチンはなんと、麻薬といわれるヘロインやコカインよりも依存性が強いのです。
耐性についても、コカインより強く、ヘロインと同じくらいだといいますから、吸う本数もだんだんと増えていきます。
禁煙に成功するには、ニコチンへの身体的依存に加えて、喫煙習慣による心理的依存にも打ち克たなければなりません。
目覚めや食後の一服、仕事の区切り、暇をもてあましたとき、何となく口さみしいときなど、たばこを吸うことが根強い習慣になっているという人も多いのです。
この身体的、心理的な依存を同時に克服するのは、並たいていなことではありません。
もし、ニコチン依存症になっているなら、まずはその事実をしっかりと認識することが大切です。
ニコチン依存症かどうかを見分けるための一番簡単なポイントは、朝起きて何分後に最初の一本を吸うかということです。
目が覚めて一五分以内に吸うという人は依存症だといえ、あるいは、朝起きて最初にやることが、顔を洗うことでも、歯を磨くことでも、コーヒーを飲むことでもなく、たばこを吸うことだという人も依存症です。
これらの条件にあてはまる人はもはや、禁煙を決意したとしても、自分の意志の力だけでやめるのは極めて難しいのです。
たばこを吸う人の多くが、「吸わずにがまんしているとイライラして落ち着かなくなり、吸うとリラックスできる」といいますが、実はこれは「まやかし」で、たばこにだまされている状態にすぎません。
たばこのニコチンはこのアセチルコリンと性質がそっくりで、脳のなかで記憶や学習の機能を司る海馬という部分に、アセチルコリンのダミーとして入り込んでしまうのです。
そうすると、脳はアセチルコリンをつくらなくてもいいと錯覚して、つくらなくなつてしまいます。
つまり、たばこを吸っている人は、脳内にアセチルコリンがないためにドーパミンを出せず、緊張状態が続いたままリラックスしにくくなるのです。
そんなときに喫煙をすると、ニコチンがアセチルコリンの代わりにアセチルコリン受容体にくつついて、ドーパミンを出させるようになります。
つまり、アセチルコリンができないぶんをたばこのニコチンで補給すれば、イライラがおさまってリラックスできるわけです。
しかし、よく考えてみると、そもそもたばこによってアセチルコリンがつくれなくなるからイライラするわけで、それをたばこのニコチンで解消しているのです。
ニコチンが入ってこないとドーパミンが出ないため、ニコチンが習慣になってしまう、まさに、たばこにだまされている状態なのです。
もし、たばこをやめたら、ニコチンが入ってこなくなるので、脳内にアセチルコリンをつくりなさいという指令が出ます。
徐々にアセチルコリンがつくられるようになると、そこではじめてたばこを吸わなくもつらくなくなるのです。
たばこを吸う前の身体に戻れるから、たばこを吸わないとイライラして、吸うと楽になるということもなくなるのです。
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