肺を元気にするには呼吸する筋肉
肺がジワジワと蝕まれてくると、「呼吸をする」というただそれだけのことがたいへんになります。
長年の喫煙などで弱ってしまった肺を元気にして、正しい呼吸がラクにできるようにするには、呼吸をするときに使う「筋肉」鍛えるが重要なのです。
肺は、カゴ状になった肋骨と胸骨、胸椎という骨や、肋骨と肋骨の間をつなぐ肋間筋、横隔膜などでできた「胸郭」という鎧のようなもので囲まれています。
肺自体には筋肉がないため、心臓や胃腸のように自力で動くことはできません。
肺の周囲の筋肉を動かして胸郭を広げたり縮めたりすることで、肺をふくらませたりしぼませたりして、呼吸をおこなっているのです。
呼吸はいわば、たくさんの筋肉が連動しておこなう共同作業というわけです。
なかでも、とくに大切なのが横隔膜。横隔膜は、胴体内部を横切って胸とお腹を区切る位置に、ドーム状に張りめぐらされている膜状の筋肉です。
このすぐ上に肺が接しており、この横隔膜が注射器のシリンダーのように上下することで、肺を伸縮させているのです。
息を吸うときには、肋骨と肋骨の間を大きく広げるように肋間筋が働き、横隔膜が下がって、胸郭が上下左右に広がります。
そうすると肺がふくらんで、自然に空気が入ってくるのです(吸気)。
逆に息を吐くときには、肋間を狭くするように肋間筋が働き、横隔膜は上がることで、胸郭は縮みます。
そうすると肺もしぼむため、肺のなかの空気は自然に押し出されていくのです(呼気)。
この胸腔の伸び縮みを原動力とした呼吸は、常に無意識におこなわれているため「安静時呼吸」とも呼んでいます。
胸郭には絶えず広がろうとする働きがありますが、それと反対に、肺には縮もうとする働きがあります。
これに対して、意識して動かせる筋肉の働きを原動力とした呼吸を「努力性呼吸」といい、これは、意識しておこなう深い呼吸です。
息を深く吐くときは腹筋が働き、圧がかかった内臓が横隔膜を押し上げます。
押し上げられた横隔膜は中央が盛り上がってドーム状になり、そのドームに押し上げられて肺がしぼむのです。
反対に、息を深く吸い込むと、横隔膜が収縮して下がり、上にある肺はふくらみます。
呼吸するときに使う筋肉をまとめて「呼吸筋」といい、呼吸筋が衰えていたり、正しく使われなかったりすると、上手に呼吸ができません。
肺を鍛えることはできなくても呼吸筋を鍛えれば、二酸化炭素をしっかり絞り出し、必要な酸素を十分に吸い込む理想的な呼吸がラクにできるようになるのです。
呼吸するときに横隔膜がしっかり上下に動けば、その動きに連動して、肺の底面も五〜一〇センチも上下するといわれています。
肺をしっかり伸縮することができれば、空気も十分に出し入れでき、理想的な呼吸ができるわけです。
肺に問題を抱えている人に限らず、呼吸の浅い人というのは、この横隔膜を正しく使った腹式呼吸がうまくできていないのですが、その原因として胸郭の硬さが考えられます。
胸郭が硬いと、横隔膜が動きづらくなるのです。
胸郭の硬さをとるには、胸部を柔らかくすることが大切で、肋間筋や大胸筋など、胸の筋肉のストレッチやトレーニングが効果的です。
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