キリンの首が長いのは?
体は、時間の経過のなかで、同じことを繰り返すことで得られた情報、つまり、それまで生きてきた経験を、将来の生活に生かすことができる賢い仕組みをつくりだしたのです。
たとえば、はしかや風疹に一度罹ると、もう一度同じウイルスが体に侵入してこようとしても、「一度罹った」という記憶が残って、二度と同じ病気にならないですむようになります。
これは「免疫」という外敵に対する防御システムですが、同じようなことが、もっといろいろな生活の場で起こりうることがわかってきたのです。
臓器の時間の流れの中で、過去に臓器が働いて得られた経験をもとに、その経験を記憶、メモリーとして体に刻み込んで、将来の臓器の働き方を変化させる仕組みが存在するのです。
この仕組みが、「エビジェネティックス」とよばれます。
「遺伝子」の性質を変える仕組み、ということです。
臓器の働き方は、先祖代々受け継いだ「遺伝子」によって決められています。
これまでは、「遺伝子の働き方」は生まれながらにして決められていて、「遺伝子の構造」が変わらない限りいつでも同じだと考えられていました。
ところが、同じことを繰り返す中で、次第にその働き方も変えられる、つまり、過去の経験が記憶として、「遺伝子」の中に「書き込まれていく」ことがわかってきたのです。
この経験の書き込みが、健康にも大いに役立っていたのです。
キリンの首が長くなったのは、キリンが努力して高いところにあるものを食べようとしたからそうなったのではない、たまたま「キリンの首が長くなる」という「突然変異」がキリンの「遺伝子」に起こったからだ、というのがダーウィン以来の「進化」の考え方です。
しかし、キリンの首がたまたま長くなっても、それだけではキリンは生きていけません。
長い首を支える丈夫な脚も必要ですし、頭に血液を届けるための高い血圧を生み出す強い心臓や血管が必要になります。
首の長いキリンが生きていくためには、たくさんの「遺伝子」が同時に変化しないといけません。
こうした複数の「遺伝子」に、偶然に「突然変異」が次々に起こるのには何年かかるか計算した人がいます。
その結果、50億年の生物の長い歴史の時間でも、到底追いつかないことがわかりました。
でもなぜキリンの首は実際、長いのか。
その謎解きを行っていくうちに、最近になって「遺伝子の働き方」についての考え方に落とし穴があったことがわかってきました。
これまで、「遺伝子の構造」について、その「本体」部分しか見ていなかったのです。
遺伝子の「本体」は、確かに「突然変異」でしか変わりませんが、その「本体」に、さまざまな環境条件のもとで、いろいろな小さな分子がくっついたり、また離れたりしていることが見えてきました。
そして、そうした分子のくっつき具合で、同じ「遺伝子」でもその働き方が変わってくることがわかりました。
この「遺伝子」の「本体」にいろいろな分子がくっついたり離れたりすることが、エビジェネティツタス、つまり遺伝子の性質変化の正体です。
そうして大切なことは、こうした分子が「遺伝子」にいったんくっついたり離れたりすると、その変化がかなり長い時間、ときには一生涯に及ぶこともあるということです。
こうして、「遺伝子」に書かれた情報そのものは変わりがなくても、生まれてから経験した「記憶」によって、その「遺伝子の働き方」が変わり、しかもその変化が、生きている間、ときには世代を超えてずっと受け継がれることが明らかになりました。
遺伝には逆らえないという言葉を口にする人がときどきいますが、生きている間の努力が報われることもあるということが医学的にわかってきたのです。
臓器で一番血液を使うのは?
(答)腸の健康にはカイテキオリゴ
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