やせたお母さんから生まれた子がメタボに
いま、生下時体重が2500g以下の赤ちゃんが増えています。
生まれてくる赤ちゃんの1割近くが2500g以下、昔は、普通は3000g以上で生まれてきたものですが、いまではそうした赤ちゃんは3割程度になってしまっています。
このことは、赤ちゃんの将来の健康に大きな影響を及ぼすことがわかってきて、大変注目されています。
そして、「臓器の時間」が、いったいいつからどのようにその時を刻み始めているのか、その起源までも教えてくれます。
というのも、「臓器の時間」は、お母さんのお腹にいるときにすでに決められているかもしれないという調査結果が示されたのです。
イギリスのパーカーは英国での調査で、赤ちゃんがお母さんのお腹にいるとき、お母さんが低栄養の状態でいると、その影響を胎児が受けてしまい、その赤ちゃんが成人に達したあとで肥満や糖尿病、高血圧などが起こりやすく、心血管障害による死亡率が上昇することを報告しました。
この仮説は、20世紀最大の仮説とまでいわれ、当時あまりにも意外な事実だったため、なかなか受け入れられなかったほどですが、いまでは多くの人に確からしいと思われています。
というのも、「パーカー仮説」を支持する歴史的事実が起こったからで、それがオランダ飢僅とよばれる事件です。
第二次世界大戦時、ナチスドイツ軍の占領によりオランダでは食糧制裁がしかれ、1日の食糧配給が大人1人当たりたった700kcalまで落ち込みました。
成人の1日当たりの摂取カロリーの目安として2000kcal程度といわれていますので、半分にも満たない量です。
この制裁に遭遇した妊婦さんから生まれた人たちを追跡調査した結果、驚きの事実が明らかになりました。
その子どもたちが50歳になったとき、同世代よりも明らかに肥満や糖尿病が多いことが判明したのです。
赤ちゃんはお腹の中にいるとき、将来自分がどのような栄養環境の世界で生きることになるかを考えています。
そして、赤ちゃんの臓器は、将来に向けて刻むべきベストな時間の流れを決定し、実際に動かし始めているのです。
特に、脳や腎臓それにインスリンを分泌するすい臓は、生まれてから大量の血液を使って、即、生きていくためにフル稼働する必要があります。
お母さんが栄養不足の状態なら、自分が生まれてからの世界もきっと栄養が不足しているのだろうと予測して、それに合わせて、なるべくエネルギーの消費を倹約できるように、脳や腎臓、すい臓の時間の刻み方がセットされるのです。
生まれてからも低栄養の世界であればその世界にうまく適応できることになりますが、もし生まれてからの世界が食べ物であふれかえっている世界であれば、どうなるのか?
赤ちゃんの脳は、あまりお腹が減っていなくてもどんどん食べるようにプログラムされています。
糖分も塩分も、生まれてからきっとたくさんはとれないだろうということで、インスリンを分泌するすい臓も、塩分を排泄する腎臓も、少ない糖分、塩分に対処するようにしかつくられていません。
しかし生まれた後、たくさんの栄養分にさらされる運命になると、のべつまくなく食べてしまいがちになり、十分なインスリンが分泌されず血糖が上がって糖尿病になったり、塩分を腎臓からちゃんと排泄できなくなって高血圧になったりします。
生まれる前にセットされた腎臓やすい臓などの「臓器の時間」の刻み方が、生まれてからの実際の生活のペースと合わず、その結果メタボや生活習慣病を引き起こしてしまうのです。
こうして、「臓器の時間」はどんどん無駄遣いされてしまいます。
最近、ファッションモデルの激やせが社会的にも大きく取り上げられ、欧州などでは非常に問題視されています。
なぜなら、その人たち自身は将来メタボにはもちろんならないかもしれませんが、じつはそうしたやせた女性から生まれた子どもたちは逆にメタボになる可能性が高いと考えられるからです。
お母さんたちは自分一人だけの身ではないことを自覚して、ちゃんと栄養をとる必要があるのです。
出生時の体重が2500g以下のいまどきの赤ちゃんには、成長過程で「臓器の時間」が進みすぎないように、生活習慣に特に注意を向けることが必要です。
臓器で一番血液を使うのは?
(答)腸の健康にはカイテキオリゴ
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