遺伝子が記憶する?
医学の世界で「いい記憶」の効用が証明されてきています。
ある治療法が、本当に臨床的に有効なのかどうかを確かめるために、これまで数多くの臨床試験が実施されてきました。
何千人という患者さんを対象にして、ある治療法Aを行うグループと、別の治療法Bを行うグループに分けて、何年間かAあるいはBの治療法を続けます。
そしてその後、AとBの治療効果の差をみるものです。
従来の実験と大きく違って興味深いのは、ここからで、こうしたいくつもの試験において、たとえばAの治療効果がBより優れているという結果がでた場合、試験終了後、その二つのグループを以後同じように治療したとしても、試験期間中Aで治療したグループのほうが、その後も治療効果が優れている状態が続く、ということが観察されたのです。
試験終了後の治療法はまったく同じだったにもかかわらず、です。
糖尿病について、「糖尿病の人は、血糖を健康な人になるべく近づくように下げたほうが、合併症が起こることを抑えることができるのか」を確かめる臨床試験が実施されました。
15年間の治療の後、確かに血糖を厳格にコントロールしたグループのほうが、通常レベルの血糖コントロールを行ったグループより、糖尿病の血管合併症は少ないことが証明されました。
そしてその後、試験に参加した人たちを同じように厳格な血糖コントロールのもと、10年間追跡する調査がされました。
すると10年たっても、それまで15年間厳格に血糖をコントロールした人たちのほうが、相変わらず血管合併症が少なくその差が縮まらなかったのです。
15年間血糖が低かったという記憶、メモリーが、少なくともその後10年間残って血管合併症の発症に影響したのです。
この現象は、「ブドウ糖メモリー」とよばれています。
きちっと、血糖のコントロールをしたほうが、その「いい記憶」が残ってその後も健康でいられるという意味です。
この血糖コントロールのメモリー現象に、エビジェネティックスが関わっているかもしれないという研究結果が発表されました。
血糖が高いと、ミトコンドリアをつくりだすために重要な遺伝子にエビジェネティックスによる変化が起こって、その遺伝子の作用が弱まることが明らかにされたのです。
すると、新しいミトコンドリアができにくくなり、ミトコンドリアのリニューアルが進まなくなります。
その結果、糖尿病の人では、ミトコンドリアのカが弱くなり、どんどん血糖が上昇してしまいます。
実際に、糖尿病の人では筋肉のミトコンドリアが小さく数も少なくて、ブドウ糖を使ってエネルギーをつくるカが弱いことが知られています。
逆に、早くからきちっと血糖をコントロールした努力は、ミトコンドリアのカを強くし、そのメモリーは、その後の人生にまさに健康の財産として受け継がれます。
ですから、若いうちから、いい記憶をたくさん持つよう努力することは、臓器の時間が速く流れるのを防ぐうえで大変重要なことなのです。
臓器で一番血液を使うのは?
(答)腸の健康にはカイテキオリゴ
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