心を表現する脳の前頭前野

心を表現する脳の前頭前野

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心を表現する脳の前頭前野

心を表現する主な部分は、脳の中でも前頭前野という大脳の最も前方の部位にあります。

前頭前野は人間にとって特別な脳であり、人間性の根本に関わっています。

ある人が事故に遭って前頭前野を失うと、その人は目標に向かって意欲的に行動することができなくなり、人の気持ちをくみ取り集中して仕事に取り組むことができなくなってしまうのです。

前頭前野は社会の一員として生きていくために必要不可欠なのです。

前頭前野には、主に四つの働きがあります。

そしてこの四つの箇所にさきほど述べた3つの脳内物質ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンが作用しています。

ひとつめは前頭前野の左右外側上方の上あたりにあり、ここはノルアドレナリンが作用しています。

この場所でノルアドレナリンは脳が感知したストレスに基づいて集中力を促します。

この部分を集中脳と呼ばれ、テキパキと仕事をこなせるのは集中力があってこそです。

夢中で働いている時などは、前頭前野にある集中脳には、ノルアドレナリンが活発に働いています。

仕事だけでなく、車を運転したり家事をしたり勉強をしたりというのも、この能力のおかげです。

車の運転は、その日の天気や状況を一瞬のうちに判断しなければなりません。

こういった行動はさまざまな情報を瞬時に分析し、これまでの体験と照合して最善の行動を選択しなければいけません、この働きをワーキングメモリーとも言います。

ちなみに脳が成熟していない子供や認知症になった大人、大量に飲酒をした人は、前頭前野の働きが低下し、ワーキングメモリーは働きません。

ノルアドレナリンはドーパミンと似たようなホットな興奮作用があるのですが、ドーパミンが心地よい快をもたらしてくれるのに対し、ノルアドレナリンは「怒り」や「危険」に対する興奮をもたらします。

ノルアドレナリンは、身体の内外から受けるストレスやプレッシャ一によって活性化されます。

試験が近づいたり、大切な仕事を任されると、それがストレスになり、ノルアドレナリンが分泌され、この時、ノルアドレナリンは自律神経に働きかけて、血圧を上昇させ心拍数を速め、集中力を高めているわけです。

次はちょうど目の上あたりに、意欲を促すドーパミンが働きます。

意欲を持つことで、夢に向かって邁進でき、ドーパミンはその意欲が結果に導かれると得も言われぬ多幸感を心に与えてくれます。

しかし、ドーパミンの意欲が活性化するにはひとつの源が必要で、それは「報酬」です。

ここで言う報酬は、特にお金に限ったことを指しているのではありません。



夢や希望、目標を達成すること、上司にほめられること、家族から感謝されることも報酬です。

人は報酬=快を得ることによってドーパミンが分泌され、さらなる意欲が湧いてきます。

この意欲を促す箇所を私は意欲脳と呼んでいます。

三つ目は前頭前野の腹外側のこめかみの上あたりにある、セロトニンが働くスイッチ脳です。

スイッチ脳は気持ちを切りかえる箇所です。

人はいつも同じことに執着していては、社会生活が行えません。

どこかで折り合いをつけて切りかえることでみずからに降りかかるさまざまな事柄に対処するのです。

もう仕事をやめて休もう、怒るのはやめて優しくしよう、という心の切り替えが必要な時に働きます。

問題に突き当たった時、別の方法を選択したり打開策を考えるはずです。

そういった柔軟な心をつくっているがスイッチ脳なのです。

そして最後は前頭前野のちょうどおでこの真ん中、眉間のあたりにある、「第三の目」と言われる腹内側に共感脳があります。

共感脳にはセロトニンが働きかけます。

この場所は人の気持ちに同調し、共感する心をつくります。

日本には以心伝心という言葉がありますが、これは何も言葉にしなくても心が通じあうことの意味です。

これは超能力が働いているわけではなく、仕草や表情に基づいて心を読む能力です。

直感や第六感というのも同じように共感脳で感じとっているのです。

共感と言っても相互理解とは違い、相互理解というのは、相手に理解してもらわないといけないというある意味でのドーパミン的報酬を必要とします。

そうではなくあくまで他者に同調した時に沸き起こる、個人が感じる通じ合った気持ちという意味です。

そしてこの共感脳はセロトニン活性に重要な役割を担います。

ストレスを受け流すのに大切なセロトニン活性にはいくつかの条件が必要です。

リズム運動、太陽光、グルーミング、これらのどれかが作用するとまずこの共感脳が活発になります。

そして活発になった共感脳から脳幹のセロトニン神経を活性化し、前頭前野を刺激して集中力や意欲、気持ちの切り替えに作用するのです。

つまり、この共感脳を発達させることは、セロトニンと前頭前野の活性になくてはならないものなのです。

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