増幅した苦しみを小さくする
親の不仲や病気、家庭内暴力、かつてのパートナーとのつらすぎた関係など、過去のつらい記憶のある人は、時間が経過しても、しばしばそれが蘇ってくるといいます。
そして、その記憶に感情を苦しめられて、それがうつなどの要因となることがあります。
そうした人におすすめしたいのが、マインドフルネスという方法です。
これは瞑想法からきているもので、「意味づけをするのをやめて、事実を事実としてありのままに認識しよう」ということが基礎にあります。
トラウマといえるような過去の記憶をもつ人は、それをどうしても心の中で繰り返し反芻してしまい、その過程で、その出来事のもつ意味づけをふくらませすぎてしまう傾向があります。
すると、つらさ、怒り、苦しみといった感情も増幅してしまうのです。
そこで、マインドフルネスのトレーニングをすることによって、ふくらんでいた意味づけを取り除いていくことができます。
といっても、練習でいきなり、つらすぎた過去をわざわぎ思い出す必要はありません。
かわりに、身近にある音、香り、景色などで、五感を使ったトレーニングをするといいのです。
たとえば、音なら、「ただの音」として感じるようにします。
「きれいだな」、「うるさいな」とはあえて考えないようにします。
最初はどんどん雑念がわいてきますが、この五感によるトレーニングをしていくと、いやなことを思い出したとき、もちろん、ある程度は不快な気分になることがあるとしても、よけいな意味づけによって過剰にふくらみすぎたつらい感情や焦燥感などはわき起こりにくくなっていきます。
また、古くて新しいスビリチユアルという方法も、心の治療に有効なアプローチとして、近年、あらためて注目されはじめています。
これは、すでに精神医療においても、末期がんの患者さんの心のケアや、依存症の治療など、心の深層に関わる部分で大きな役割を果たしてきているものです。
たとえば、だれかを許せない気持ちがずっとあって、それがいまだに怒りや悲しみをつくっているのなら、その感情は天の上の神様やハイアーパワー(偉大なる力)など大きな存在に委ねてしまうといったやり方をします。
スピリチュアルというと、「あやしげだ」と感じる人も多いかもしれませんが、WHOでは健康の定義として、フィジカル(肉体的)、メンタル(精神的)、ソーシャル(社会的)、スピリチュアル(霊的)の4つをあげ、スピリチュアルに関してもすでにさまざまな科学的研究が始まっています。
ちなみに、外国では宗教を意味することも多いのですが、日本では神様仏様、大自然の風景、永い歴史の息づく建築物などをイメージしてもよいです。
うつ病がんばるな!
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