抗うつ薬の効き方
睡眠薬はある程度まで眠れるようになったら減量や中止を検討できるし、精神安定剤もらくになってきたら、やめることが望ましいと考えられています。
抗うつ薬は、調子がよくなってきても、しばらく飲み続ける必要があると考えられています。
その目的は、脳を中心とした情報伝達ネットワークの体質改善です。
漢方薬を飲み続けると体の調子が整って、病気になりにくくなることがあるように、一定期間、抗うつ薬をしっかりと飲み続けることで、うつが再発するクセを改善していけると考えられているのです。
しかし、患者さんが自分の判断で、早々と飲むのをやめてしまうことがあります。
とくに多いのが、薬を飲みはじめたら、ねむけやだるさなどがひどくなってきたというときです。
これを副作用だと決めつける人が多いのです。
実際に副作用である場合もあるのですが、このねむけやだるさは、薬が効果を発揮しだすときの一時的なサインである可能性もあるのです。
とくに、不安や焦燥感の強い人に薬の効果が出ると、その不安やあせりが和らぎ、緊張感や落ち着かない気持ちも消えてきます。
すると、やっとのことで疲労を感じられるようになり、ここで、ねむけやだるさを感じることがあります。
これは、徹夜で勉強してクタクタになっていても、必死なときには目が冴えているのが、試験が終わって安心した途端に急激にねむけや疲労を感じるのと同じです。
つまり、心身にリラックス感が出てきているので、この時期に無理をせず、きちんと休んで過ごすと、徐々に充電も進み、新しい活力がわいてくるのです。
そして、だからこそ、ここで薬をやめてしまうというのはもったいないことなのです。
また、抗うつ薬の効き方にはパターンがあります。
その薬に効果があった場合、いやな気分や症状が消えるのは、薬を飲みはじめてから意外と早いのです。
不安や焦燥感も消えていきますし、不眠も早めに改善します。
「自分はダメだ」、「死にたい」といった思いも、わりと早い時期に落ち着きます。
それに対し、消耗しきっていた気力や意欲がふたたびわき上がってきたり、心身のスタミナがついてきたりするのには、それなりの時間がかかります。
そこを、あせらずに治療していくことが大切です。
さらに、薬の種類にもよりますが、抗うつ薬の副作用が出るのは、その薬が効いている場合にも多いのです。
さまざまな抗うつ薬のなかから、副作用の軽い薬から順番に試していくのですが、薬によっては、「効果が強ければ、副作用も強く出る」ということが、ひとつの判断基準となっているのです。
副作用は飲みはじめのころに出ることも多いものです。
耐えられないほどの副作用をがまんする必要はありませんが、少したつと落ち着いてくることもあるので、軽いようであれば、すぐに服用を中止したりはせずに、主治医と相談しながら、しばらく様子を見るようにします。
うつ病がんばるな!
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