うつは身体症状や合併症もある
うつの患者さんの大半は、他の精神症状との合併症をもっています。
とくに多いのが不安障害との合併で、うつをもつ人の半分以上にその合併が見られるといいます。
また、うつの患者さんの半分が身体症状を訴えます。
さらに、過食症やアルコール依存症の患者さんの半分近くはうつを経験、自己破壊的な行動や激しい衝動性などが見られる境界性パーソナリティ障害の人の半分以上も同じくうつを経験するといわれます。
ほかにもさまぎまな症状との合併がありますが、それも、ひとつとはかぎらず、複数の症状が同時に出ることもめずらしくありません。
どの症状も、心身の情報伝達ネットワークの異常という同じひとつの原因によって起こっているということです。
まず、ネットワーク異常ありきで、その不都合が、人それぞれに出るのです。
それは、体質によることもあるし、環境によることもあります。
その人の個性のひとつであるかのように、さまざまな形で現われるわけです。
そして、表面的に見えるその状態に対して、うつが目立つ人はうつ病、不安が目立つ人は不安障害、体の変調が目立つ人は自律神経失調症、衝動の異常が目立つ人は衝動性障害、依存が強まる人は依存症、性格面の問題が目立つ人はパーソナリティ障害などと、病名がつけられているだけなのです。
いくつかの症状があったとしても、その悪化・改善とともに、一蓮托生に連動しうるということも意味します。
うつをこじらせて長引いているうちに、不安障害も悪化したり、行動や体の異常まで出現するということはめずらしくありません。
また、実際、複数、の症状を合併しているケースの多くでは、なんらかの治療によってひとつの症状が改善すると、連鎖的に他の症状もいっしょに改善されていくことも少なくないのです。
抗うつ薬のSSRIにも、不安障害を含め、うつ以外のさまざまな症状をある程度改善する効果があることがわかっています。
その事実からも、複数の症状が症候群としてつながっていることがうかがえます。
そして、抗うつ薬とは、厳密には「対うつ」のみの薬なのではなく、全身の情報伝達ネットワークのバランスを整える薬ということもできるのです。
うつ病がんばるな!
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