心と体は切り離せない
心のもち方しだいで、人の感覚というのはすごく変わってくるものです。
たとえば、痛みというのは人の感覚のなかでもいちばん心の影響を受けやすいといわれ、欧米では、病気や薬の副件用による苦痛を軽減するための 『疾病認知』という学問も研究されているほどです。
また、病院では、末期がんの患者さんに、うつをもっていなくても抗うつ薬を処方することがよくあります。
がんの痛みのコントロールには麻薬が有効とされているのですが、抗うつ薬をいっしょに投与することで、その効果を高めたり、麻薬の量自体を減らすことができるのです。
パニック障害は不安障害のひとつで、人ごみや電車の中にいると、急な不安に襲われる病気なのですが、このパニック障害が引き起こすことが多い症状の上位半分には、動悸、息苦しさ、冷や汗、めまいなど、体の症状ばかりが並びます。
つまり心と体はいかに切り離せないということです。
心と体のつながりを科学的に説明するのが、ファイナル・コモン・パスウェイ (最終共通経路)という考え方です。
体には、情報伝達のネットワークがくまなく張りめぐらされていて、さまぎまな情報が脳と体のあちこちを行きかっています。
このネットワークはまるで全体が1本の道でつながっているかのように密接に連動しながら、さまざまな用途に使い回されているというのが、この考え方の要旨です。
そして、使い回しであるために、どこかの経路が酷使されると、そのしわ寄せは別のどこかにあらわれます。
たとえば、ひどく悩んだとき、自律神経のバランスが崩れて胃に穴が開いてしまったり、ストレスがたまったとき、免疫力が落ちて風邪やヘルペス疹を患いやすくなったりと、酷使したのは精神面でも、そのしわ寄せが体の不調となってあらわれたりするわけです。
反対に、体の病気があると、うつを患うリスクが高まることも知られています。
女性のなかには月経前症候群(PMS)や更年期障害に悩まされる人が少なくありませんが、生理前や閉経期は女性ホルモンが不安定になっています。
すると、思考や感情を調整している経路が影響を受け、イライラしたり、うつっぽくなったりするわけです。
また、病気やケガがないのに痛みなどが出る自律神経失調症は、ストレスのしわ寄せで、感覚に異常が生じたときに起こりがちです。
ストレスによって精神のバランスが崩れると、依存性、衝動性のコントロールを失うこともあります。
すると、それが行動の異常となり、貧乏ゆすりや過食などのクセが悪化したり、買い物症候群、過食症、ギャンブル依存症、アルコール依存症などをよんだりすることもあるわけです。
つまり、心身の情報伝達ネットワークはまるで1本の道のようにつながっているから、なにかがあれば心・体・行動のどこにでも、どんな症状でも出る可能性があるのです。
うつ病がんばるな!
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