うつを治す抗炎症
これまでは、脳内化学物質に働きかけるとされる抗うつ薬が、うつ治療の主流でした。
しかし、うつが全身に張りめぐらされた情報伝達ネットワークの異常だとすると、脳の中だけを見る治療では不十分です。
視点を全身に広げるとともに、異常の原因をつくっている「慢性炎症を抑えること」が大切な課題となってくるのです。
慢性炎症を改善していくということは、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病、アルツハイマーなど、あらゆる病気の予防や治療にも結びつくのです。
うつの予防や治療のためのク抗炎症″には、「脳や体で起きている慢性炎症を抑える」、「慢性炎症の原因となる心理ストレスを減らす」という2つの方向性が考えられます。
これを、現在の日本の精神医療の治療態勢でいうならば、前者は薬、後者はカウンセリングということができます。
カウンセリングのなかでも、心理療法士などの専門家が行う精神療法 (サイコセラピー) によって、うつの要因となりやすい考え方や行動の仕方などを見つめなおすタイプのものは、とくに効果的といわれます。
薬についていえば、抗うつ薬のSSRIにも炎症を抑える働きがあるといわれています。
また、注目されるものとしては、「体の炎症反応が低いほど抗うつ薬の効きがよい」という研究があります。
これは抗炎症の実践が、薬中心でうつの治療をしている人にとっても役立つ可能性があることを意味しています。
さらに、薬品メーカーによっては、新たに抗炎症という考え方に基づく新薬の開発も始まっているといいます。
たとえば、慢性炎症や、炎症と関わりの深い免疫機能に働きかける薬であり、うつだけでなく、がん、脳梗塞、心臓病、糖尿病などの予防・治療にも役立つ夢のような薬になるかもしれません。
といっても、それが医療の現場に普及してくるのには、まだまだ時間がかかりそうです。
うつ病がんばるな!
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