疲労に効く成分とは
疲労に効くイミダペプチドには、活性酸素による細胞の損傷も抑制する働きがあります。
活性酸素によって細胞が損傷を受けると、細胞が修復される過程でTGF−βという物質の値が高くなります。
この値が高ければ高いほど、活性酸素による細胞の損傷が多いということです。
イミダペプチドを摂取すると、この物質の上昇が抑制されることがわかっています。
体内の酸化が進むと、尿中の8−イソプロスタンという成分が増加します。
体の酸化が進んでいなければこの物質は増えません。
イミダペプチドをとることで、この成分が減ることがわかっています。
イミダペプチドは細胞の酸化をしっかりと抑制しているのです。
さらに、イミダペプチドは疲労因子FFを減らし、疲労回復物質FRの反応性を高める働きがあることもわかっています。
疲労発生メカニズムの過程において、イミダペプチドは、優れた抗酸化作用で細胞の傷を防ぎ、疲労因子FFを軽減させ、細胞の機能低下を抑えることで抗疲労効果を発現していたのです。
抗酸化作用を発揮する食品や医薬成分が、抗疲労物質として期待できることは事実ですが、すべての抗酸化物質が優れた抗疲労効果を持っているわけではありません。
食品成分の解析では極めて強い抗酸化作用を持っていても、人体に入って消耗の激しい部位で抗酸化作用を発揮しないと抗疲労効果は得られません。
その点で、イミダペプチドは、ほかの抗酸化成分と決定的に異なるすごい秘密があります。
たとえば、抗酸化成分でよく聞く成分は、ビタミンC、ポリフェノール、アントシアニン、カテキンなどで、こうした抗酸化成分の場合、食品から摂取した抗酸化成分は、消化管から血中へ運ばれます。
これらの抗酸化成分は血液中で抗酸化効果を発揮してしまい、ターゲットとなる疲労のポイント、つまり活性酸素でぼろぼろに傷ついた細胞にいきつくまでに抗酸化力が使われてしまうのです。
ですから、疲労ターゲットの細胞に到着したときには、ほとんど抗酸化パワーは失われてしまっているという状態となります。
一方、イミダペプチドの場合は、消化管から吸収されるといったんβ−アラニンとヒスチジンという2種類のアミノ酸に分解されます。
分解されたアミノ酸は血液中ではほとんど消費されることなく、ターゲットとなる消耗の激しい部位の細胞に到達します。
消耗の激しい部位に到着したβ−アラニンとヒスチジンは、イミダペプチド合成酵素によりイミダペプチドに再合成され、そこではじめて抗酸化作用を発現するのです。
このイミダペプチド合成酵素、実は、鳥においては羽の付け根のむね肉に、かつおやまぐろの場合は尾びれに元々豊富に存在します。
つまり、個々の動物において最も消耗の激しい部位にこのイミダペプチド合成酵素が豊富に存在するよう、遺伝子レベルでプログラミングされているのです。
人間の場合、イミダペプチド合成酵素が多い場所は、脳なのです。
自律神経中枢を含む脳と主要な骨格筋にイミダペプチド合成酵素が豊富です。
人間の場合、摂取したイミダペプチドは消化管から吸収され、いったんβ−アラニンとヒスチジンに分解されたあと、血管を通り脳や主要な骨格筋に運ばれ、そこでイミダペプチド合成酵素により再びイミダペプチドとなり優れた抗疲労効果を発揮します。
ですから、途中の血管や臓器で抗酸化力が減弱されることなく、ターゲットとなる消耗の激しい部位にダイレクトに到達し作用するのです。
これをドラッグデリバリーシステム(DDS)といい、ターゲットとなる部位まで運ばれてそこでピンポイントに作用を発揮するシステムです。
この点が、ほかの抗酸化物質と決定的に異なるところで、イミダペプチドが運動だけでなく、デスクワークや日常の疲労の回復に効果を発揮するのも、消耗の激しい自律神経系や脳に直接抗疲労効果を発揮できるからであり、こうしたドラッグデリバリーシステムの働きによるものなのです。
イミダペプチドは肉体疲労も精神疲労も同時に解消できます。
実験結果などから導き出された1日にとりたいイミダペプチドの量は200mgで、これをとるには、鶏のむね肉100gの摂取が必要、さらに最低でも2週間とり続けることが大切です。
鶏のむね肉は100gあたり191キロカロリーで、同じ鶏のもも肉に比べると、脂肪、カロリーともに低いので、ヘルシーな食材といえます。
もちろん、豚肉や牛肉などからもイミダペプチドは摂取できますが、たとえば牛肉でイミダペプチド200mgをとろうとすれば、計算上では牛肉を400g以上食べないと摂取できません。
毎日この量をとれば脂質のとりすぎになります。
イミダペプチドは熱に強いのが特徴で、炭火焼きなどの直火を使うと成分が変質してしまいますが、これ以外は、調理による損失もありません。
水に溶ける性質もあるので、汁物にすればスープで成分をあますところなく摂取できます。
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