お酒の飲み過ぎでアルコール性肝障害
アルコールを飲むと、肝臓でアセトアルデヒドや酢酸へと分解され、最後は水と炭酸ガスになって体外へと排出されます。
このアセトアルデヒドが問題で、肝細胞を傷つける原因となります。
そのため、長期にわたって大量に飲酒すると、アルコール性脂肪肝になったり、繊維化が進んでアルコール性肝繊維症になるなど、さまざまな障害をひきおこします。
このように、アルコールが原因でおこる肝臓の病気を総称して、「アルコール性肝障害」と呼んでいます。
アルコール性肝障害は全般的に自覚症状が乏しいため、検査などで気づいたときには肝硬変になっていることも珍しくありません。
かつて日本は欧米に比べてアルコール性肝障害は少ないといわれてきましたが、現在は日本でも増えてきています。
しかも、日本人は遺伝的にアセドアルデヒドを分解する酵素の活性が低い人が多いため、欧米人に比べてアルコールに弱いのです。
そのため、同じ量だけ飲んでいたとしても、アルコール性肝繊維症などになりやすいといえます。
アルコール性肝障害の男女比をみてみると、圧倒的に多いのは男性ですが、女性の場合は男性よりも少ない飲酒量、短い飲酒期間でも肝硬変に進行することがわかっています。
ですから、女性ですでにアルコール性脂肪肝や繊維症になっている人は、男性よりもいっそうの注意が必要で、いくらお酒が好きで、とくに症状がないとしても、適量をこえないようにしなくてはいけません。
アルコール性肝障害の場合、お酒を飲みつづける限り、病状は悪化する一方ですので、治療ではまず断酒をおこないます。
断酒するだけでも検査値や肝臓の状態が改善することがほとんどです。
肝硬変にまで進んでいる場合は、肝機能をもと通りにすることはできませんが、断酒をすることで、その後の生存率は大幅にアップします。
断酒と並行して、食事療法もおこないます。
肝細胞の修復に必要なたんばく質やビタミンなどを積極的にとるようにし、脂肪肝の人は、摂取エネルギーと脂質を制限します。
そのほかに、症状に応じて、抗酒薬や肝機能改善薬、ビタミン剤などの薬物療法をおこないます。
アルコール依存症の人では、断酒による離脱症状に対する精神的な治療が必要になることもあります。
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