発酵食品を生み出す菌
発酵には、顕微鏡でしか見ることのできない微生物が大きく関わっています。
微生物は、食材に含まれるデンプンや糖、たんばく質などを分解・合成して、新しい成分を生み出します。
この代謝活動を「発酵」といい、発酵によってもとの食材にはないおいしさや栄養成分が加わった食べ物が発酵食品です。
発酵を促す微生物にはいくつか種類がありますが、なかでも代表的なものが「麹菌」「酵母菌」「乳酸菌」「納豆菌」「酢酸菌」の5つです。
◇麹菌
米や大豆などの穀物を、煮たり蒸したりしたときに繁殖する糸状菌(カビ)の一種で、米を原料としたものが米麹、大豆を原料としたものが大豆麹で、日本の伝統食の味噌やしょう抽、日本酒や焼酎などに幅広く使われています。
その役割として、デンプンをブドウ糖に、たんばく質をアミノ酸に分解します。
ブドウ糖は乳酸菌や酵母の増殖に必要なエネルギー源として、アミノ酸は乳酸菌や酵母の材料として使われます。
また、乳酸菌や酵母に必要なビタミンなどの栄養素も供給します。
◇酵母菌
糖をアルコールと炭酸ガスに分解する際に用いられる微生物の一種です。
ブドウ糖を食べてアルコールを生成することから、各種アルコールの醸造に利用され、その用途によってビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母などに使い分けます。種類が多く、パン、味噌、しょう油などにも用いられます。
植物の表面や空気中、土壌など、自然界のいたるところに存在する菌ですが、現在では発酵食品に合わせて、もっとも適した酵母菌を純粋培養し、雑菌を取り除いたものが使われています。
◇乳酸菌
糖を分解して栄養分とし、増殖しながら乳酸をつくる細菌のことです。
乳酸をつくる過程を乳酸発酵といい、チーズ、ヨーグルト、味噌、しょう抽、漬物、日本酒、ワイン、パンなどの製造に幅広く利用されています。
ビフィズス菌、ヤクルト菌、LG21、KW乳酸菌、コッカス菌など100種類以上あり、動物のミルクなどに生息する動物性乳酸菌と、植物の葉や果実の表皮に生息する植物性乳酸菌に大別されます。
なかには、人間の腸内で悪い細菌や病原体からからだを守るはたらきをしているものもあります。
◇納豆菌
稲わら、枯草、落ち葉など、自然界に存在する枯草菌の一種で、とくに稲わらにすむ枯草菌を納豆菌と呼んでいます。
蒸した大豆に納豆菌をつけて発酵させたものが納豆ですが、大豆の成分が分解されて、ビタミン類やアミノ酸が非常に増えることがわかっています。
また、納豆菌が生み出すビタミンK2には、カルシウムを吸着させて骨を丈夫にする作用があるといわれています。
◇酢酸菌
エタノールを酸化して酢酸を生み出す細菌のこと。糖や炭水化物などが酵母によって発酵し、エタノールを生成するような場所に存在し、自然界では花の蜜や果実などからも取り出すことができます。
酢酸菌を活用する代表例は、酢の醸造です。
蒸した米に麹を入れ、アルコール発酵させて「もろみ」をつくります。
そこに酢酸菌を入れると発酵し、酢ができます。原料が米なら米酢、りんごならりんご酢になりますが、もしワインに酢酸菌が混入したら、ワインビネガーという酢になります。
また、ナタ菌と呼ばれる酢酸菌を使ってグルコースなどの糖類を発酵させると、ナタ・デ・ココという食品ができます。
酢酸には有機酸やアミノ酸が豊富に含まれており、疲労回復や血圧の上昇を抑制する効果があります。
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