食物繊維で肝臓の脂肪をとる
私たちの肝臓には、正常な状態でも5%はどの脂肪が含まれています。
これが10%以上にふえた状態が、いわゆる脂肪肝です。
原因は、アルコールの飲みすぎによる場合もありますが、むしろ多いのはエネルギー(=カロリー)のとりすぎ、いいかえれば食べすぎにあるのです。
したがって、脂肪肝の人は肥満をあわせ持っているケースが多いのです。
幸い脂肪肝は、原因さえとり除けば比較的簡単に治すことができます。
ですから、エネルギーのとりすぎが原因なら、これまでの食生活を見直して改めればいいわけです。
では、1日にどの栄養素をどのくらいとるのが理想的なのでしょうか。
必要とするエネルギーを、タンパク質、糖質(炭水化物)、脂肪(脂質)の3つの栄養素からとっています。
それぞれの栄養素の適正な割合は、摂取エネルギーとしてタンパク質12〜13%、糖質57〜68%、脂肪20〜25%とされています。
まずは1日の総エネルギー量をこの比率でとることが原則です。
それに加えて心がけてほしいのが食物繊維の摂取です。
厳密にいうと食物繊維の中でも粗繊維を、1日6〜8gはとってほしいのです。
食物繊維は大別して、水にとける性質のものととけない性質の2つのタイプがあります。
粗繊維という場合、主としてセルロースやリグニンなどの水にとけないかたい繊維をさし、これは野菜や豆類、海藻類、きのこ類に多く含まれています。
粗繊維は、食べても消化されないので胃の中にとどまっている時間が長く、満腹感が持続します。
このため、食事に適量の粗繊維をとり入れると、ごはんやパン、めん類などの糖質(デンプン)のとりすぎを防ぎ、結果的に摂取エネルギーを低く抑えるのに役立ってくれるのです。
また、粗繊維は腸に入ると水分を吸収してふくれ、コレステロールや中性脂肪の吸収を妨げる作用もあります。
つまり、粗繊維をとると、おのずと各栄養素のバランスがとれ、これが脂肪肝や肥満の改善につながるというわけです。
実際の調査でも、脂肪肝で肥満を合併している患者さんに食生活の指導を行ったところ、脂肪肝と肥満の改善に著しい効果が得られました。
脂肪肝については、50例中31例、実に62%の患者さんに顕著な改善が見られたのです。
1日6〜82の粗繊維をとるための目安は、大豆などの豆類(乾燥)を202と、根菜を含む野菜類を350〜400g、それに海藻類ときのこ類の計10gを合わせた量です。
脂肪肝の人はこの目安を頭に入れて、バランスのよい食事を考えることが大切です。
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