肝臓の代謝を円滑にするビタミンB群
肝臓の働きにとってたいせつなのは、タンパク質だけではありません。
各種のビタミンも欠かすことのできない栄養素です。
肝臓では、たとえばデンプンをブドウ糖につくりかえるなど、栄養素のつくりかえ作業や新しい物質の合成(これらを代謝といいます)、また不要な物質の分解・解毒などを行っています。
それらは主に酵素の働きによるもので、ビタミンは、その酵素の働きになくてはならない存在なのです。
このため、肝臓に何か障害があると、たとえば体内でのビタミンの合成などはうまく行われません。
ビタミンのなかでも、とりわけ肝臓と深い関係にあるのは、B群ビタミンです。
これは、B1、B2、B6、B12、ニコチン酸アミド(ナイアシン)、パントテン酸、葉酸などをさします。
これらのB群は、体内の代謝をスムーズにし、糖質や脂質、タンパク質などをエネルギー源に変えるのに欠かせないビタミンです。
そして体の中では、肝臓の細胞のミトコンドリアという小器官に多く含まれています。
ビタミンB群が不足すると、肝細胞の機能はたちまち低下し、代謝障害を起こして、だるさや食欲不振といった症状があらわれてきます。
逆に、お酒の飲みすぎなどで肝臓に障害が起きると、多くの場合、ビタミンB群欠乏症が同時に進行することも確認されています。
アルコールの害とビタミンB群の関係については次のような実証例があります。
毎日5合以上のお酒を飲む120人を調べたところ、約6剖がアルコール性肝硬変や肝炎、脂肪肝など、なんらかの肝臓障害がありました。
そして、血液中のビタミン濃度を調べてみると、潜在的なビタミンB群欠乏症の人が非常に多いという結果が出たのです。
では、なぜアルコールによる肝機能障害のある人に、ビタミンB群欠乏症が多く起こるのでしょうか。
ビタミンB群はすべて小腸で吸収されて、肝臓でビタミンとして働くようになります。
ところがアルコールをとりすぎると、腸粘膜に障害が起こり、まずこの吸収が妨げられるのです。
そして第二に、たとえ小腸でなんとかビタミンB群が吸収されても、肝臓の機能が落ちていると、せっかくのビタミンB群も働くことができないのです。
ビタミンB群が働かなければ、肝臓の細胞に影響して、B群の欠乏はいっそうひどくなります。
その結果、この悪循環がどんどん広がっていくというわけです。
これでビタミンB群の肝臓に対する重要性がおわかりいただけたことと思います。
実際、アルコール性肝炎や脂肪肝などの治療では、ビタミンB群を大量に補給する方法がとられています。
代謝のかなめである肝機能の乱れを修復するには、どうしてもB群が必要なのです。
酒飲みを自認している人は、日ごろからビタミンB群不足に陥らないよう食生活に注意を払い、お酒のおつまみにもB群を多く含む食品をたっぷりとるように心がけます。
ビタミンB群を豊富に含む食品は、主に次のようなものです。
@ビタミン臥を書に含む食品
小麦胚芽 豚もも肉 大豆 落花生 ロースハム 玄米 鶏レバー胚芽米など
Aビタミン臥を豊吉に含む食品
やつめうなぎ 牛レバー 鶏レバー しいたけ 小麦胚芽 卵 チーズなど
Bその他ビタミン‰、叫ナイアシン、パントテン酸、葉酸などを書に含む食品
レバー 肉類 牛乳 酵母 魚 豆類 卵黄 ナッツ類 ほうれんそう チーズなど
なかでもBlは、私たちの体に貯蔵しておくことができないため、毎日補給しなければなりません。
B群ビタミンのそれぞれをすべてまんべんなくとるのはたいへんなようですが、実際に食品を選ぶ場合には簡単な目安があります。
それはB群を豊富に含む食品を@とABの2つのグループに分けて考えることです。
この分類を見てもわかるように、AとBはほぼ同じような食品に含まれています。
ですから、@のグループから食品を1つ、ABを合わせたグループから食品を1つ、合計2つ選べば、それでB群がはとんど全部とれることになります。
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