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脳内で抗うつ薬の効用の仕組み
脳の中は神経が網の目のように張りめぐらされ、感情や思考や意欲などは、その神経の働きで生まれてきます。
うつ病の症状は、このような感情や思考や意欲などの機能に障害があると考えられおり、脳の活動に何らかの不都合が起こっていると考えられています。
脳の中に神経は１本ずつ長く続いているものではなく、神経細胞が連結してできており、連結部分はくっついているのではなく、シナプス間隙（かんげき）といわれる隙間があるのです。
情報を伝達するときは、その隙間にある神経伝達物質が働くことで、神経細胞から次の神経細胞へ情報が伝わっていきます。
神経伝達物質というのは、神経細胞の末端からシナプス間隙に放出され、次の神経細胞にある受容体に刺激を与えることで、情報の伝達を行う化学物質のことです。
これらの神経伝達物質は、次の神経細胞への伝達の役割を終えた後、またシナプス間隙に放出されます。
そして元の神経細胞に再び取り込まれ、次の利用に備えるという仕組みになっているのです。
この神経伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリンなどがあり、それぞれが異なる情報を運ぶ役目になっています。
①セロトニン
脳内をはじめ、消化管や血小板など体内に広く分布しており、脳内では体温調節、睡眠、感情、記憶、食欲などの機能に関与しているといわれます。
②ノルアドレナリン
副腎から分泌される交感神経系の物質で、心拍を促進して血圧を上げる働きなどがあります。
ストレスと関係が深く、危険を感じたときなどは交感神経の働きを高め、不安や恐怖などの精神状態を引き起こすとされています。
③ドーパミン
運動の調節をはじめ、感情や認知の機能に重要な働きをしており、例えば、パーキンソン病は、ドーパミンが不足するために、運動の指令系統がうまく働かず、手足の震えなどが起こります。
④アセチルコリン
記憶などを知的活動と関係しているといわれます。
うつ病の人の脳の状態を調べてみると、これらの神経伝達物質のうち、セロトニンとノルアドレナリンの量が極端に減少していることがわかっています。
うつ病の治療に使われる抗うつ薬は、シナプス間隙におけるそれらの濃度を高める作用をするものです。
次の神経細胞へ伝達する役目を終えたセロトニンやノルアドレナリンは、またシナプス間隙に放出され、元の神経細胞に吸収され、これを再取り込みといいますが、抗うつ薬はその再取り込みを抑えることで、シナプス間隙におけるセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高める作用をするのです。
 うつ病がんばるな！
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