肝障害のほとんどはウイルス性肝炎
現在、脂肪肝を除く日本人の肝臓病の約80%は、肝炎ウイルスによるものです。
肝炎ウイルスは現在、A型、B型、C型、D型、E型、G型の6種類が確認されており、それぞれが異なった性格や特徴をもっています。
ただ日本ではD型、E型、G型はまれで、ほとんどがA型、B型、C型です。
これらのウイルスに感染し、持続的にウイルスをもっている人をキャリアといい、全国に400万人以上いると推定されています。
キャリアのだれもが必ずウイルス性肝炎を発症するわけではありませんが、自分がキャリアかどうか認識しておくことも大切です。
ウイルス性肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎に分かれます。
なんらかの肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスは肝臓に棲息しながら、活動する機会を伺っています。
これを潜伏期といいます。
そして、いよいよウイルスが活動し始め、肝細胞を破壊し始めると、肝臓はウイルスを排除するために、免疫反応を起こしてウイルスとの戦いを開始します。
これが急性肝炎です。
症状は、どの型のウイルス性肝炎もほぼ同様で、たとえば、かぜに似た症状、倦怠感、食欲不振などがでてきます。
これに対して、ウイルスの活動が6か月以上続く状態を慢性肝炎といい、B型やC型肝炎ウイルスが原因になっています。
慢性肝炎の初期は、自覚症状をほとんど感じない人も多く、肝炎が治ったと勘違いする人もいますが、長い年月をかけて確実に肝臓を傷めていくケースもあるので注意が必要です。
A型肝炎ウイルスは、下痢を起こすウイルスに似た、直径27〜28ナノメートル(ナノは100万分の1o)の大きさのウイルスです。
主に感染者の糞便から出たウイルスが、回りまわって口から入って感染します。
このウイルスに一度感染すると抗体ができるので、二度とかかることはありませんが、ごくまれに劇症肝炎という、非常に危険な状態に進んでしまうことがあります。
日本では、衛生環境が悪かった時代を過ごした50代以上の人は、すでに免疫をもっていることが多いのですが、衛生環境が整ってから生まれた若者たちには免疫のない人が少なくありません。
このため、東南アジアやアフリカといった発展途上国へ旅行する若者が多くなるとともに、このウイルスに感染する人が目立つようになっています。
また最近、ホモセクシャルの人たちの間で、A型肝炎の感染がみられています。
A型肝炎にかかると、かぜのような症状が続き、次に発熱、関節痛、食欲不振、吐き気などが現れます。
その後、尿が黄色くなったり、黄痘が認められるようになります。
治療は初期段階で点滴を行うことがありますが、安静にしていれば慢性化せず、自然に肝機能が回復してきます。
急性肝炎を起こしてから早くて1〜2週間、遅くても2〜3か月で治まるのがふつうです。
B型肝炎ウイルスは直径42ナノメートルとA型肝炎ウイルスの2倍ほどの大きさです。
B型肝炎ウイルスのキャリアの血液や体液から感染し、1〜6か月間の潜伏期間を経て発病します。
この肝炎の感染者のほとんどは、免疫力が不十分な2〜3歳までの乳幼児期に、母親から感染(母子感染)したものです。
成人後は輸血やセックス、なかには覚せい剤の注射針や入れ墨などから感染するケースもありますが、免疫力が十分に備わっているため、かぜに似た症状や食欲不振といった症状がでても、一部の劇症肝炎になる例を除いて、ふつうは2〜3か月で肝機能は正常化していきます。
ただし、強いストレスや疲れすぎなどでたまたま免疫力が落ちているときにB型肝炎ウイルスに感染すると、そのままキャリアになってしまうことがあります。
また最近、B型肝炎にもウイルスの型により慢性化しやすいものとしないものがあることがわかってきました。
慢性化したB型肝炎は、C型肝炎と同様、疲れやすいといった症状を除けば、ほとんど自覚症状はありませんが、そのまま放置しておくと、キャリアの約10%は肝硬変に移行する危険性があります。
定期的に肝機能検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。
治療の基本は安静と食事療法、グリチルリチン製剤の内服や注射などですが、症状が重いときはウイルスの増殖をおさえるインターフェロン療法や、ステロイドリバウンド療法、バラクルードなどの抗ウイルス療法、さらにはワクチン療法などを行います。
C型肝炎ウイルスも、B型と同様に、キャリアの血液や体液から感染する直径約55ナノメートルの粒子状のウイルスです。
このウイルスに一度感染すると、体の中で免疫反応が起こっても中和抗体ができず、いつまでも体の中に居座わってしまいます。
中和抗体とは、ウイルスの外側のたんばく質に対してできる抗体で、この抗体がしっかり働けばウイルスを破壊することができるのですが、C型肝炎ウイルスは外側のたんばく質の性格を次々と変えてしまうので、中和抗体が効かなくなってしまうのです。
感染源は輸血や注射針が使い捨てになる以前の医療行為などといわれていますが、このウイルスは感染力が弱く、日常生活の中で感染することはまずありません。
自覚症状もB型肝炎などと比較しても軽く、ほとんど症状がでないといってもいいほどです。
そのため、キャリアであることに気づかず、そのまま一生を過ごす人もいます。
ただ、その一方で、C型肝炎ウイルスのキャリアの20〜30%が感染後、20〜40年後に肝硬変、肝がんを発病していることは見過ごせません。
治療にはインターフェロンが主に用いられるほか、坑ウイルス薬(リバピリン)を併用することもあります。
ただ、治癒率は慢性肝炎で40%前後といわれています。
肝炎ウイルスには、A〜C型以外にも、E型、D型、G型の3種が確認されています。
ただ、D型肝炎ウイルスは一番外側の殻をB型肝炎ウイルスのたんばく質を借りて形成するため、B型肝炎ウイルスに感染している人でしか増殖することができません。
E型肝炎ウイルスは、A型肝炎ウイルスと同様に経口感染ですが、日本で見かけることはほとんどないといわれてきました。
しかし最近、原因不明とされた急性肝炎の中にE型肝炎が散見されることがわかってきました。
野生のシカやイノシシ、ブタの生焼けの肉やレバ刺しを食べて感染したケースが報告されています。
G型肝炎ウイルスも、C型肝炎ウイルスに近い種類のウイルスと考えられていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
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