肝硬変や肝臓がんを防ぐには
ウィルスやアルコールを原因とする肝臓の炎症が長期間続き、慢性的に肝細胞の破壊がくり返されると、その破壊された細胞の抜け落ちた空間を埋めるために、線維組織が増殖し、やがて肝臓の血液の流れを妨げ、肝機能を低下させます。
これが肝硬変で、慢性肝炎やアルコール性肝障害が最後に行き着く痛気です。
原因はC型肝炎からの移行が半数以上を占め、B型肝炎を合わせると、全肝硬変の原因の90％近くをウイルス性肝炎が占めています。
ただし、同じウイルス性肝炎でもA型は、肝硬変へ移行することはありません。
また、一般的に肝硬変は、酒豪がかかる病気というイメージが強いのですが、アルコールを主原因とするものは10％程度にすぎず、自己免疫性疾患や薬剤性障害が原因になることもまれにあります。
肝がんは、肺がん、胃がんに次いで日本人のがん死の3位を占めています。
肝がんには、ほかの部位のがんが肝臓に転移する転移性肝がんと、肝臓自体から発生する原発性肝がんがあり、原発性肝がんには肝細胞がんと胆管細胞がんがあります。
原発性肝がんの9割以上が肝細胞がんであり、そのほとんどで前段症状として肝硬変が現れます。
とくに、肝がんの4分の3は、C型肝炎から肝硬変、そして肝がんへと移行しています。
アルコールの飲みすぎから肝がんになるような場合も、C型肝炎を併発しているケースが多く、アルコール単独で肝がんになる人は、日本ではそれほど多くはありません。
このように肝硬変はウイルス性肝炎と、肝がんは肝硬変と密接にかかわっています。
肝がんの原因はまだ詳しく解明されていませんが、進行過程がわかっているという意味では、比較的予防が可能ながんともいえます。
肝がんを予防するためには、なによりウイルス性肝炎に感染しないことです。
肝硬変や肝がんに進行するウイルス性肝炎はB型とC型です。
両者ともに血液や体液を介して感染するので、このウイルスに感染している人の体液や血液に接触しないことが最大の予防法ということになります。
さらに、バランスのよい食事と適度な運動、節度をもった飲酒と性生活を心がけることも忘れてはいけません。
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