笑うことだけで免疫が上がる
免疫というのは、精神状態と非常に密接に関係しています。
日本人というのは、特に男は、歯を出して笑うことをたしなめられることが多っかたのです。
しかし、NK細胞という観点から言うと、笑わない人はNK活性が低下し、がんになりやすくなります。
笑いがNK活性を高めることは、学問的にも研究されていて、アメリカでは「笑い療法学会」というのが1982年に発足しています。
日本でも笑いがいかに健康に役立つかを、多くの人が研究しています。
がんの生きがい療法というのがあります。
1987年、がんの患者がアルプスの最高峰であるモンブラン登頂に成功しました。
生きがいをもって生きることで免疫力を高めようという心理療法の一環として行われました。
患者さんたちはその準備期間から、登頂してさらには下山するまで、充実した日々を送ったようです。
生きがい療法では、その後も富士山登山があったり、オーロラを見に行くツアーがあったり、さまざまな試みを行ってきましたが、現実には、そこまで思い切ったことができるがんの患者は限られています。
そこで、生きがい療法にかかわった医師たちと、「日本笑い学会」とが共同して、笑いの効用を研究し始めました。
生きがい療法のひとつに、ユーモアスピーチというのがあり、どうも笑いは免疫にいい作用をもたらせるのではと考えた医師が、きちんとデータをとろうということで行ったものです。
実験は吉本新喜劇の協力を得て行われ、漫才や落語をライブで楽しみ、その前後で血液を採取し、NK活性を測定して比較することで、免疫力にどんな影響があったかを調べました。
その結果、20代から60代までの被験者18人のうち、測定不能だった1人を除いて、14人のNK活性が上昇しました。
また、糖尿病の患者さんを対象に、初日は、昼食後、退屈な内容の専門的な講義を問いてもらった後に血液をとって血糖値を測定し、次の日には、同じ昼食後という条件で、漫才で大いに笑ってもらった後の血糖値を測定しました。
その結果、明らかに漫才の後での血糖値の上昇が少ないことが確認されたのです。
血糖値を下げるのは、薬剤か食事療法しかありませんが、笑えば下がるということが、この実験でわかったのです。
なぜ、笑いによって免疫力が上がるのか、まだメカニズムは解明されていません。
笑うことで心も体もリラックスし、副交感神経が優位になることによって、リンパ球が活性化することが考えられます。
また、脳からは、βエンドルフィンやセロトニンという脳内ホルモンが分泌され、これらのホルモンは、ストレスを受けたときに出るアドレナリン系のホルモンを抑制します。
これが、NK活性が上昇する一因となっていると考えられます。
楽天で安眠グッズを探す
Amazonで健康食品を探す |
|