交通事故の損害保険

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交通事故の損害保険

交通事故を起こしますと、当然に被害者に対する被害の弁償が問題になります。

また、加害者に対する刑事責任の追及は、被害の弁償ができているか、被害者の感情はどうなっているかで軽重が違ってきます。

刑罰の重さのみでなく、刑務所からの仮出所にも響いてきます。

しかも、最近は被害弁償額が高額化しています。

全財産をはたいても弁償できるような額ではありません。

被害者の側から見ると、加害者の財産の有無や、弁償能力によって被害弁償がなされなければ大変なことになります。

そのため、自動車を運行する者に、一定の限度までの保険に加入することを義務づけて強制するとともに(自賠責保険)、その限度を超えるものについて任意に保険に加入することをすすめています。

また、無保険車やひき逃げ等の場合には政府が保障する制度(自動車損害賠償保障制度)も生まれました。

さらには、運転者自らの被害や同乗者の被害をカバーするための搭乗者保険や、自動車や建築物等の被害弁償のための村物賠償保険などもあります。

自動車の運転にかかる事故の、損害のてん補についての保険の主なものは次のとおりです。

1 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)

2 自動車村人賠償保険(任意保険)

3 自動車村物賠償保険(任意保険)

4 搭乗者保険(任意保険)

5 労災保険(交通事故が労災事故と認定された場合)

6 健康保険(傷害の治療費等に)

7 火災保険(火災のみならず交通事故にかかる損害も村象にしている)

8 生命保険(死亡のみならず傷害の場合の治療費・休業損害等も)

交通事故が発生すると、これらの保険が複維に絡み合って、支給される仕組みになっています。

加害者が被害者に謝罪し、その損害を賠償する義務を確定し、その支払額、支払方法を合意する契約を一般に示談と呼んでいます。



@いずれの保険にも加入している場合
 
加害者と被害者との交渉は、加害者の加入している任意保険会社が加害者を代理してすすめます。

 イ 協議が成立すれば、任意保険会社は、自賠責と任意保険を一括して被害者に支払います。

自賠責と任意の保険金の清算は任意の保険会社があたります。

 ロ 協議不成立の場合は、被害者が自賠責保険の被害者請求をしてまず自賠責保険金を受領し、残余の不足分を加害者に村して訴訟・調停等の手続きをとることになります。

この場合には、保険会社の嘱託弁護士が加害者側の訴訟代理人になるのが通常です。

A任意保険に加入していない場合

イ 協議が成立した場合には、加害者が自己の費用をもって全額を支払い、その後で自賠責の保険会社に加害者請求をします。

ロ 右の場合、双方の合意ができれば、被害者に自賠責の被害者請求をしてもらい、残余を加害者が支払うという方法をとることもできます。

ハ 協議が成立しない場合、被害者は自賠責の被害者請求をなし、残余を調停・訴訟で加害者に請求してもよいし、自賠責請求をせずに全額を加害者に請求しても自由です。

B加害者が不明とか、加害者が自賠責保険にも加入していない場合には、被害者は政府(国土交通省)に政府保障の手続きをなす道もあります。

この場合も支給された保障金は、加害者に対する賠償請求から減額されます。

加害者が保険金を請求できるのは示談成立と損害額支払いが条件

いずれにしても、被害者は加害者に関係なしに直接保険会社に保険金が請求できます。

これに対して、加害者は被害者との示談を成立させ、かつこれにより支払いを終わった場合のみ保険金の請求ができます。

もっとも、被害者の病状等により治療が長期にわたる場合は、任意保険会社が賠償金の内払いの形で支払います。

また自賠責でも仮払いの制度があります。

なお、生命保険金、火災保険金、搭乗者保険金などは、契約者(この場合は被害者)の請求で支払われますが、加害者に村する賠償請求とは無関係です。

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