交通事故の刑事処分の厳格化
近年、無謀な飲酒運転などによる死亡事故などが社会問題となったことから、平成二二年の刑法改正
で「危険運転致死傷罪」(刑法二〇八条の二)が新設されました。
条文は以下のとおりです。
刑法二〇八条の二@
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は一〇年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
A人の車を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。
赤信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
この危険運転致傷罪は、これまで業務上過失致死傷罪としてしか処罰できなかったものを、特に悪質と見られる類型について、重い処罰を定めたものです。
この危険運転致死傷罪が適用されるのは四輪車以上の車で、その種類は以下の五つです。
@アルコール(飲酒)または薬物(麻薬・シンナーなど)の影響により正常な運転ができない状態での運転
A進行を制御することが困難な高速度での運転
B進行を制御する技能を有しないでの運転
C人の車を妨害する目的で、走行中の自転車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
D赤信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転。
処罰については、業務上過失致死傷罪(刑法二一一条)が五年以下の懲役もしくは禁錮または五〇万円以下の罰金であるのに対して、危険運転致死傷が適用されると、傷害を負わせた場合は一〇年以下の懲役、死亡させた場合は一年以上(一五年以下)の有期懲役と、格段に刑罰が重くなっています。
平成一四年一一月には、飲酒運転で二人を死亡させた運転手に対して、東京地裁で懲役九年の実刑判決などが出され、平成一五年中に危険運転致死傷事件として起訴された人数は三三四人となつています。
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