拘束されている人への面会や差入れ
逮捕勾留されている人は、警察の留置房や拘置所に留置されます。
交通事故を起こした人の多くは、留置されること自体初めての経験であり、捕らわれの身として、心細い不安な気持ちにさいなまされます。
また家族としても、日常のこと、仕事のこと、将来のことについて、ぜひ会って話をしたいことと思います。
面会や差入れは、双方にとって、励ましであり、支えになるものです。
警察署に身柄が拘束されているときは、警務課の担当官に会って、面会や差入れの許可をもらいます。
面会時間は平日では午前九時から午後三時頃までの間で、土曜、日曜、休祭日は休みです。面会には警察官が必ず立ち会い、事件そのものについては話をしないよう注意されます。
面会する場合の注意点としては、会えるのは平均一〇分から一五分ぐらいです。
ですから面会前に話すことの要点をまとめてメモをしておき、要領よく聞いたり話したりして、時間を有効に使えるように準備しておくことです。
手錠をかけられたり、やつれた姿にすっかり興奮してしまい、泣くだけで時間が過ぎた例も見聞します。
拘束されている者にとって、泣かれることはたいへんショックですから、絶対に禁物なことです。
差入品は、衣類については特別の制限はありませんので、通常必要な分は差入できます。
その他洗面具やチリ紙は、なるべく早く差入れたいものです。警察では布団は入れられませんが、毛布は可能です。
下着類も交換できますが、なかで洗濯ができるところも多いようです。
単調な留置中の生活のなかでは、洗濯も気分転換として喜んでやる人が多いようです。
食事は警察署長の指定を受けた業者の、特定の食事のみが差入れ可能です。
すしとかそばなどの特別の食品は、許可がない限り許されていません。
ただ取調官が事実上便宜をはかってくれる場合もありますが、あまり期待すべきことではありません。
現金については、警察により取扱いが異なりますが、差し入れても、指定業者の食事を取るのに使う程度です。
本人に持病があったり、日常薬を常用している場合でも、薬品類は差入れを許されません。
警察医の診断により、警察医の処方せん以外には、薬品を本人が服用することは許されていません。
書籍は、新本は差入れが容易で、新聞は不可としているのが実情のようです。
拘置所での面会ですが、拘置所では午前九時から、午後三時三〇分までで、土曜日、日曜・祭日は原則として認められませんが、非常に遠方からの場合等の特別事情があれば、事前に許可をとって会うことも例外的に許されています。
いずれも面会時間は五分以内が通常です。
拘置所でも看守が立ち会って面会内容を筆記します。
したがって秘密を要することや時間のかかることは、立会いもなく時間の制限もない弁護士の面会に頼るしかありません。
弁護士には、防禦を尽くして公判で争う必要があるため、秘密交通権が与えられているからです。
なお、一般の面会は面会票に住所氏名等を記入し、これを受付に提出して面会の順番を待つことになり、だいぶ時間がかかりますので、早めに申し出ておきます。
拘置所の差入れも、警察とほぼ同じですが、やや厳格になります。
洗面具では普通のナイロンの歯ブラシは入れられますが、石ケンや歯みがきは、拘置所で用意してある品物しか使えません。
拘置所では下着、毛布のほか、布団も差入れ可能ですが、検査などで二、三日かかり、しかも綿のなかまで調べますので、高級品は傷つきます。
拘置所は、冬ですとフトン上下一組のほか、毛布三枚の支給がありますので、寒冷地以外ではさほど心配ないようです。
食事の差入れは、朝食以外の二食について指定業者の指定食品のみが差入れられます。
果物、菓子などの差入れはできませんが、本人が拘置所の係官に購入願を出し購入することになります。
買える物は、牛乳、バナナ、ミカン、パン等ですので、ある程度の現金を差し入れておきます。
起訴されるまでの勾留中、面会することによって、本人が逃走したり、身内の人に犯罪の証拠を隠させたりすると思われる相当の理由がある場合には、裁判所の決定で家族との面会等を禁止する場合があります。
接見禁止になると、面会だけでなく、書籍も差入れできなくなります。
しかし食事の購入や、衣類の差入れは可能です。
接見禁止中は、弁護士のみが面会できることになりますので、連絡をとって弁護士に聞いてもらわなければなりません。
ただ弁護士も、弁護のために必要事項を聞くだけでも相当時間がかかりますので、本当に必要な限度にとどめておきます。
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