交差点内で右折車が起こした事故の責任
@後続する直進車との衝突事故
交差点での右折の場合は、運転者にとって最も慎重を要する場合にあたり、事故も多く、そのため道交法は種々の義務を規定し、何回かの改正もなされています。
まず右折しようとするときは、交差点手前の側端から三〇メートルの地点に達したとき右折の合図をし(五三条一項)、自動車・原動機付自転車(原動機付自転車には特例がある 三四条五項)であれば、あらかじめできるだけ道路中央に寄ったうえ、交差点の中心の直近の内側(矢印などの標示で指示されているときはそれに従って)徐行しなければならず(三四条二項)、軽車両であればあらかじめできる限り道路の左側に寄ったうえ交差点の側端に沿って徐行しなければなりません(三四条三項)。
これに対し、右折車両の後方にいる車両は、合図をした右折車両の進路変更を妨げてはならないとされています(三四条六項)。
したがって、右折車が以上の義務をつくした場合、後続車が右折の合図に気づかないでこれを追い越そうとして衝突事故を起こしたとすれば、後続車に過失があることになります。
もっとも、例外なくすべての場合に法規にしたがって右折方法をとりさえすれば、それ以上の後方安全確認義務を負わなくてもよいのだろうかという疑問が生じます。
しかし、高速な車両を走らせている自動車運転者としては、後方の安全を確認したうえで右折を開始した後にあっては、特に左右前方に対し注意を払うことはともかく、右折開始後も後方に注視を継続しなければならないということは、不可能事を要求することになってしまいます。
この点について、裁判例は、信頼の原則を適用して、後方の安全確認継続義務はないということに、最近ではほぼ一致したようです。
最高裁判所昭和四五年九月二四日判決は、「右折しょうとする車両の運転者は、その時の道路および交通の状態、その他具体的状況に応じた適切な右折準備態勢に入ったのちは、特段の事情がない限り、後方を同一方向に進行する車両があっても、その運転者において、交通法規の諸規定に従い、追突等の事故を回避するよう正しい運転をするであろうことを期待して運転すれば足り、それ以上に、違法異常な運転をする者のありうることまでを予想して周到な後方安全確認をなすべき注意義務はない」としています。
A左右および対向道路からの直進車との衝突事故
車両が右折する場合には、どうしても左右道路および村向道路からの直進車両と交差することになります。
そこで、この場合の右折車と直進車・左折車の通行調整を図るため、道交法を改正して、右折車両側に他方に村する譲歩を要求しました(三七条)。
改正前の法三七条は、一項に直進車および左折車優先の原則を、二項に既右折車優先の原則を規定していましたが、どの時点で、「すでに右折している」こととなるのか、一項と二項の関係等適用上の問題が多く、改正にふみきったわけです。
改正法は、問題の多かった先入車優先の件とともに、既右折車優先の規定も廃止し、優先道路又は広路通行車、左方車の優先(三六条)と、右折の場合の直進車・左折車の優先に関する規定だけを設け、比較的簡明な形に整理されるに至ったわけです。
ですから、右折車運転者としては、まず第一に右方道路からの進入車両の有無を確認して交差点に進入すべきことはもちろんですが、交差点に先入した後であっても、そのまま右折を開始し、あるいは右折を継続するときは直進車または左折車の進行を妨げることになる場合は、交差点中心の直近内側で一時停止し、左方道路および対向道路からの直進車の進行および対向道路からの左折車の進行を妨げないように注意しなければなりません。
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