刑事処分の内容
公判における審理が、検察官の起訴状朗読にはじまり弁護人の最終弁論によって終わると、裁判所の判決ということになります。
判決はまず有罪と無罪、免訴、控訴棄却などに分けられます。
免訴や控訴棄却などは手続き上の問題に村してなされる特殊な場合ですから、通常は有罪と無罪のいずれかです。
もっとも無罪になるのもごく限られています。
有罪の事件についてはさらに刑が量定されます。
これを軽い順序にいうと科料、罰金刑、禁鋼刑、懲役刑です。
裁判所は判決のなかで、この刑をどれにするかを選択し、さらにそのなかで罰金の金額や懲役の期間を定めます。
科料と罰金刑は、一定の金額を罰として国に納入させる処罰です。科料は一万円未満、罰金はそれ以上です。
これらを納入しないときは、強制執行により財産を処分されることもありますし、労役場に留置されることもあります。
懲役刑と禁錮刑は、刑務所に服務させ、自由を奪って強制力を行使し一定の労役に服させ、あるいは教育する刑で、体刑と呼んでいます。
このうち懲役刑は一定の労役を課せられ、禁錮刑は本人の希望によって労役に服するという違いがあります。
起訴されてから裁判確定までの間、身柄を拘束されておりますと、その未決勾留中の日数を右の体刑のなかに算入することもあります。
たとえば、勾留日数六〇日のうち五〇日分を懲役一年のなかにくり入れるというようなことです。
交通違反者のうち体刑を受けたものがすべて交通刑務所にはいるというわけのものではありません。
初犯でしかも刑期が比較的長期の服役者のうちから、成績のよい者だけが選ばれて交通刑務所にはいり、その他の者は一般の刑務所に分散して服役させられているようです。
なお、裁判の進行中は、保証金を供託して保釈してもらい自宅に一時帰してもらえるという制度もありますが、刑が確定しますと、いくら金を積んでも服役を避けることは許されません。
判決により刑が確定しますと、会社の社長でも大学の教授でも刑務所にはいらないわけにはいかなくなります。
したがって、有罪となり体刑(禁鋼とか懲役)を言い渡されますと、たいへんなことになるわけですが、法はこの場合の政策として執行猶予という制度を設けております。
一定の期間を定めて、その期間中は刑の執行を猶予し、期間経過後は刑に服さなくともよいとする制度です。
裁判所が五年の範囲内で、刑の執行猶予の期間を定めた宣言を付しますと、被告人はその期間中刑の執行を受けることはありません。
その期間中に新しい事件や違反をしない限り、服役しないことになるばかりか、判決の言渡しの効力は期間の経過によって消滅し、前科にもならないことになります。
事件によっては、執行猶予とともにその期間中保護観察の処分を付し、保護司による指導援助を強制することもあります。
交通事犯のうち傷害事件の九八%、死亡事件の五〇%が簡易な略式手続きにより、罰金刑で処理され、その他が公判に付されております。
それに対して、公判事件のうちの圧倒的多数が懲役刑または禁錮刑という体刑に処せられ、罰金刑ですまされるケースはまずありません。
被害者のほうに重大な過失があって被告人の過失が小さいと考えられるような場合や、結果もさして重大でないときには罰金刑となるのが通例ですが、このようなケースは略式手続きで処理され、公判にまわされるのは一般に重大な事件ですから、処分結果はどうしても重い体刑ということになります。
そこで問題は、懲役刑や禁錮刑の場合に執行猶予のつく確率が、加害運転者にとって重大な関心事となります。
最近では交通事故の増化にともなって、交通違反者に対し厳罰化傾向にあります。
これは公判請求事件の増加と執行猶予判決の減少という傾向となって現れつつあります。
最近の特徴としては、事故をともなわない、道交法違反のみでも実刑が約半数を超えていることです。
昔は、無免許運転や酒酔い運転を何回重ねても罰金刑で処理されておりましたが、昭和四〇年代後半から、罰金前科三犯目位から、どしどし公判請求をなし、重いものには即時実刑の体刑を科すように変わってきたことです。
無免許や酒酔い運転のみの道交法違反内容の実刑の刑期はおおむね四か月を中心に三か月から七か月の間がほとんどです。
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