公判準備はどうしたらよいのか
公判では、検察官と弁獲人の闘争のなかに事実調べがすすめられ、判決に至ります。
交通事犯の審理では一〜二回で終結を迎えますから、事前に十分な準備をして公判にのぞむ必要があります。
そこで弁護人と打合せをし、事故の発生状況、その後の経過等について具体的に事実を説明し、弁護人と問題点を検討して、適切な指示と準備を受けておくべきです。
公判は、起訴された事実を村象として審理がすすめられます。
起訴状記載の事実は、検察官が法律的に構成した事実であって、一言一句がおのおのに重要な意味をもっています。
とくに過失の認定については、事実の発生と認識の関連、認識と行動など運転者のとった注意義務の内容が吟味されなければなりません。
当該運転手のみならず他の運転手にとっても事故の発生を認識予見できる状態であったか否か、事故を防止する方法が他に考えられたか否か、危険発生回避の余地があったか否か、回避の措置をとったかどうかなどを、事故現場の状況に別して慎重に検討してみなければなりません。
現代の裁判は証拠によってその結論が左右されます。
検察官手持ちの証拠も、公判前に弁護人に対しては閲覧謄写を許すことになっています。
そこで、事件内容と起訴状記載の事実に相違がないかどうか、証拠と矛盾がないかどうか、証拠に問題となるものがあるかどうかを、弁護人に調査してもらいます。
とくに交通事犯では実況見分調書が過失の認定について重視されますので、加害者・被害者の指示説明の違い、道路状況、位置関係について調査検討しなければなりません。
かつては「自白は証拠の王である」といわれましたが、現在でも自白が重視され、とくに検察官の作
成した調書は、公判廷での証拠としては最も強い証拠能力があります。
公判廷で簡単にくつがえすことができるだろうなどという安易な気持は通用しません。
そこで自供調書について冷静な第三者である弁護人の専門的な眼で検討してもらい、弱点をカバーする方法を準備しておく必要があります。
取調官に語った事実が誤りなく記載されていたか否か、取調べに強制や誘導がなかったか否か、長時間にわたる拘束や尋問がなかったかどうか、偽計や有利な処分を約束されて事実を曲げて供述したことはないか、誤りのないことを確認したうえ署名押印したかどうか、などがポイントになります。
任意性のない自供調書については、これをくつがえすことのできるだけの証拠を集めなければならないことになります。
「疑わしきは罰せず」というのが刑事裁判の大原則ですが、裁判官は、「被告人は有罪である」との心証をいだきやすいものと考えて、裁判官の心証を自己に有利に動かすだけの証拠を積極的に用意しなければならないことを、心に明記しておかなければなりません。
次に弁護側の証拠を集めておく必要があります。
現場写真、目撃証人、示談書、領収書、被害者の作成した嘆願書などがたいせつな証拠です。
示談については被害者に一〜二回交渉しただけであきらめることなく、何回も見舞いに行きながら相手方の協力を得るようにし、公判期日までにまにあうようにしたいものです。
なお示談書・領収証は、民事裁判にも必要ですので原本を保管し、裁判所には写しを提出するよう事前に準備しておきます。
事故現場については、弁護人とともに行って現場の状況や衝突時の状況などを確認し、さらに当時の目撃者や通行人に面談してみますと、今までわからなかった新事実や、調書にとられていないことがわかったりすることがあります。
そのような場合には、これらの人に法廷に出頭して証言していただくよう承諾を得ておきます。
なお、情状関係については、被害者に対する示談や謝罪の経過、反省の情況、今後の指導監督について、家族や友人、上司などに、証人として出廷してもらう準備が必要です。
とくに重要な証人については、あらかじめ質疑応答の手はずも打ち合わせておき、公判の当日には法廷に出頭してもらい、在廷させておくだけの準備が必要です。
最後に、法廷で被告人はどのように行動しておいたらよいか、どう答えたらよいか、手続きはどうすすむのかの認識を弁護人によく聞いて確認しておきます。
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