保険会社に話さないで示談してよいか
被害者に対する弁償には任意保険に加入している方が有利です。
しかし保険の性質をよく知り、保険会社との連絡をうまくしないと、かえつて任意保険に加入しているがために示談成立を困難にしたり遅らせることもあります。
任意保険は強制保険と異なり、車の保有者が自発的に任意に加入した保険です。任意保険の場合には、保険金額が契約の際に特定されますが、被害者一名ごとに保険金額の枠内で処理されることになります。
示談にあたって注意しなければならないことは、@事故があったら六〇日以内に保険会社に報告すること、A保険会社の了解なしに被害者と示談してはならないことなどの特約があることです。
さらに、B任意保険契約のある場合の示談のむずかしさは、加害者と被害者との間で協議ができても、保険会社の査定に合致し、保険会社が承諾した金額でない限り、保険金の支給を受けることができない点にあります。
そのため、保険契約が無制限保障であっても、被害者のいうままに示談することは困難です。
保険会社の査定は厳格ですから、なかなか当事者双方の希望する額までには達しません。
そのため、刑事責任を少しでも軽くするためには、任意保険にはいっておりながら、保険会社の支給する額を超えた部分はみずから負担する覚悟でないと、示談の成立は困難です。
極端にいえば、保険にはいっていたために、かえつて示談ができにくくなった、などという言葉さえささやかれております。
高額の保険金を支払って保険に加入し、示談の成立をあせっている加害者にとっては、このような保険約款による制約のあることは多いに不満があります。
しかし、多数の契約者をかかえている保険会社の側から見ますと、処理は確実・迅速・平等になされなければなりません。
保険会社に交通事故の発生も知らせず、保険会社と無関係に示談をされてはたまりません。早期に事故の内容を把握し、加害者側に有利な証拠を集める必要もあります。
示談金額も、他の事故の場合と同様の基準で評価されなければなりません。
加害者が勝手に高額な示談をしても保険会社としては応じられないわけです。
そこで、任意保険にはいっている場合は、早めに保険会社に報告し、絶えず担当者と相談しながら示談交渉をすすめていかなければならないわけです。
どうしても不可能な場合は、加害者側から裁判所に調停を申し立てて、調停により適切な額を定めてもらうとともに、利害関係人として保険会社を調停の場に出席させて解決する方法があります。
もっともこの場合、調停は当事者双方と保険会社の三者の協議がまとまらないと成立しません。
なお、どうしても加害者側呈示の金額を被害者が納得しない場合は、適正な金額を法務局に供託する方法もあります。
しかし、それでは刑事裁判が不利になりかねません。
そのためには、誠意をつくして被害者に事情を説明し、保険金から必ず支払われることを保証し、場合によっては賠償金の内金として一部自己負担しておくとか、念書などを差し入れないと、被害者から嘆願書や上申書をもらうことはむずかしくなります。
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