身柄を拘束される場合とは
刑事事件を起こした場合の身柄の措置については、身柄を警察や拘置所に逮捕勾留しておく強制捜査と、在宅のままで捜査する任意捜査の二種類があります。
逮捕勾留などにより身柄を拘束されるケースは、刑事事件の一〜二割程度です。
交通事故の場合は身柄を拘束される割合はさらに低くなります。
もともと身柄拘束は証拠をかくしたり、逃走されたりすることを防止するためのものなのです。
とくに交通事故は現行犯に近い性質のものであり、目撃者、被害者もおり、証拠の隠滅もあまりないうえ、交通事故を起こしたものは定職もあり家庭もある人が多く、逃走の可能性もあまりありませんので、交通事故を起こしても逮捕勾留される例は少ないといえるようです。
そこで、次のような場合に身柄が拘束されると考えられます。
@被疑者が住居不定の場合 このまま放置するとどこへ行ってしまうかわからないときです。
A逃走中のものである場合 ひき逃げや、検問所を突破して逃走を図るような場合には、身柄を確保されることになります。
B替え玉犯人を使ったり、証拠を隠したりして捜査を妨害する場合
C加害者・被害者・目撃者などの供述が重要な部分でくい違い、加害者がそれらの者に働きかけて、事実を隠したり、工作する危険があるとき
D被疑者が住所氏名や事件について一切を黙秘して話をしない場合、黙秘権は憲法上認められた権利ではありますが、身分事項についてまで黙秘しますと、身柄確保の必要上、あるいは罪証隠滅を防止するためにも、逮捕勾留されることがあります。
交通事故の場合で逮捕勾留されるような場合は、次のようなことが考えられます。
@交通三悪の事件 ひき逃げ、酒酔い、無免許などの事件で交通事故を起こした場合は、身柄拘束が原則で、在宅は例外と考えられます。
これは結果も重大ですし、処罰も厳しいものが予想されており、証拠を集めるためにも、身柄を拘束しておくことが必要だからです。
酒酔いの場合でも、単に酒に酔っていたという事実だけでなく、いつ、どこで、誰と飲んでいたか、酒の種類、量などを追及するためにも、加害運転手を警察署内にとどめておくことが、証拠の隠滅工作を防止することになるからです。
A死亡事故、被害者多数の場合 単純明白な事件の結果でも、死亡事故や、多数の被害者を生ぜしめることもありますが、結果の重大なこの種の事件では、これに比例して処罰も重くなりますので逃走を防止するためにも逮捕されることがあります。
B免許証の偽造、加害車両が盗品である場合 これは交通事故だけでなく、他の犯罪の捜査の必要性も加味されるわけです。
C被疑者の供述にうそが多い場合身柄を拘束して外部との接触を断ち、真実を発見する必要があるからです。
D関係者が多数あり、供述以外に証拠が少ない場合 たとえば、会社で多数で酒を飲み車を乗り出して事故を起こした場合、あるいは同乗者が数名おり誰が運転していたか不明な場合などで、関係者の供述を求める以外に証拠がなく、しかも関係者が供述を合わせてしまうと、真相の発見に困難が予想されるようなときは、やはり身柄を拘束しておく必要があります。
E加害者の身分が不安定な場合 飯場の土工、行商人、出稼労働者など、一定の住所も職業もなく安定しない者や、住所・職業なども不明の場合には、特定できるまで拘束されることがあります。
もともと逮捕勾留は、逃走の防止と証拠となるものを隠したり、失わせたりすることを防ぐために、捜査官に認められた権限ですが、最近は身柄の拘束がもっぱら取調べで自白させることを目的に利用されているのでは、との疑問が出る場合もあります。
また、事故がなくても無免許等、違反行為だけでも逮捕勾留されることが出ています。
事故を起こさないにこしたことはありませんが、起こした場合でも逮捕拘留されないようにすることも大切です。
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