過失相殺はどのようにするか

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過失相殺はどのようにするか

交通事故の多くは、全く一方的というものはなく、当事者双方に過失があるものです。

そこで、損害賠償の計算にあたって、双方の事故に対する過失割合に応じて、その負担割合を考える理論を過失相殺と呼んでいます。

その割合については、(財)日弁連交通事故相談センター、東京三弁護士会交通事故処理委員会、保険
会社などの他に、交通事故を専門に取り扱っている東京地裁民事部第二七部(別冊判例タイムズNQ16、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」平成一六年・全訂四版)が詳細な割合表を発表しています。

その基本的な考え方は、道路交通法の優先順位に従い、常識的な判断から、過失の割合を定めるものです。

例えば、赤信号を無視して進行した者と、青信号で進行していた者との割合は、一〇対○とするものです。

この場合、青信号の方にも交差点進入にあたり左右の情況に注意せず、減速徐行しないときには、八対二と修正変更していきます。

また自動車と自転車、自動車と歩行者、歩行者が老人や幼児の場合など、双方の義務の軽重、判断能力の差異なども、過失割合の修正要素とされています。

そこで、サンプルとして、次のようなものがあります。

@車対車の事故

イ 赤信号と青信号

(原則)赤100 青0

ロ 赤信号と黄信号

(原則)赤80 黄20

(修正)赤直前の進入、衝突時に青信号の場合に修正する。

ハ 赤信号と赤信号

(原則) 50対50

(修正) いずれが先入かで修正する。

ニ 直進車と右折車(対向進行)

(原則)直進車30 右折車70

ホ 右方車と左方車(信号機がない)

(原則)右方車40 左方車60

へ 追突(被追突車ブレーキ)

(原則)被追突車30 追突車70

(修正) 幹線道路の走行車線上の事故、後車の減速違反などに応じて修正する。

A車対人の事故

イ 人 青信号

  車100 人0

ロ 人 黄信号

  車 赤 90 人10

    黄 80 人20

    青 70 人30

ハ 人 赤信号

  車 赤 80 人20

    黄 50 人50

    育 30 人70

ニ 通常の道路上の横断

   人20以上

ホ その他の場所の横断

   おおむね車90〜70の範囲

へ 路上横臥(発見が容易でない場合)

   車70 人30



このような表を一つの基準として、具体的情況に応じて、双方の義務、態様を検討して、公平な視点から、その責任の割合を決定しようとするものです。

たとえば、酒に酔って歩行者が道路上に寝ていたとします。

この場所が、車の運転手から見て見えやすい場所なのか、そうでないか。車の速度はどのくらいであったのか、被害者は道路の端からどのくらいのところで寝ていたのか、いつごろから寝ていたのか。

この事故は平均的運転手としたらどのように対応するのか。

などなどを検討し、被害者の過失と、運転手の過失を比較検討することになります。

その結果、運転手の過失は70から50くらいの範囲で、きまるものといえます。

一般的に、一方的な事故というものは少ないものです。ただ、その割合をめぐって争いがあるのが普通です。

過失相殺は、双方の総損害を計算して、これを合算し、そのうえで、過失割合に応じて分配することになります。

たとえば、甲の損害が100万円、乙の損害が80万円で、過失割合が甲80村乙20とします。

この総損害は180万円ですから、甲の負担金は144万円、乙のそれは36万円となります。

したがって、結果的には、甲は乙に44万円を支払わなければならないことになります。

ところで、問題は刑事責任との関係です。

過失相殺の法理は、民事の公平の法理にもとづいています。

当事者双方を平等に扱おうとするものです。

しかし、刑事責任はこれとは異なり、処罰が前提となっています。

示談ができたかどうか、賠償義務を果たしたかも否かも、被告人の反省資料として、あるいは被害の回復、被害感情として評価されるものです。

無理をせず、譲れるものは、譲らざるえません。

また、友人同士でのドライブ中の事故や、親切な好意で乗車させた場合の事故について、タクシーに乗っていた時や、バスの場合と同じように計算することは、常識的に考えてもおかしいといえます。

そこで、このような場合を好意同乗として、過失相殺に準じて減額するとか、公平の見地からバランスを取る理論が生まれております。

まだ、その減額割合については、通説、定説とされるものはありませんが、一般の計算の場合の三〇%減とか、慰謝料の五〇%減とするものが多いようです。

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