交通事故の刑事処分とは
刑事の処分は、「罰金刑」と「体刑」に大別されます。「体刑」は「懲役刑」と「禁鋼刑」に分かれま
す。
「懲役刑」は強制的に労働に服させること、「禁錮刑」は労働をさせないことに違いがありますが、現実にはあまり差異がなくなりつつあります。
裁判の結果、一定の期間を定めて刑の「執行を猶予」する場合があります。
これに反して、現実に刑の執行がなされる場合を、「実刑」とよんでいます。
罰金刑は、交通事件にあっては、比較的軽い事件に対して下されます。
公判の裁判というよりは、即決裁判や略式手続きによる場合が通例です。
罰金額は、一万円以上二〇万円以下が一般でしたが、平成三年より略式手続きの上限が二〇万円から五〇万円に変更されましたので、大幅な増額となりました。
罰金は裁判所の手続きが確定しますと、検察庁から納付の命令が出て、検察庁に納めることになっています。
罰金は、検察庁の窓口に直接持参するか、郵送、振り込みによって納付すればよいことになっています。
高額の場合や、経済的事情によっては、分割や延納の処置もありますので、検察庁の執行係に資料をそえて、早めに申請することが大切です。
罰金を納付しませんと、財産の差押さえ、競売などの強制執行を受けたりするほか、「労役場留置」の処分を受けることもあります。
「労役場留置」は、監獄に付置した労役場に罰金未納者を拘束し、ここで受刑者と同様に労役に服させ、一日あたりの金額を定め、これを換算して、未納罰金額に相当する期間執行する処分です。
ただし、二年を超えてはいけないことになっています。
罰金を、第三者が納付してもわかりませんが、刑罰は金銭の回収を目的とするものではありません。
違反者本人の反省と再犯の防止にあります。
タクシー業者の使用者負担制度や、積立保険制度的な運営などは、望ましくないことです。
裁判が確定しますと、体刑で実刑の場合は、刑務所に服役することになります。
裁判の確定前の裁判中は、保釈などの金銭保証で、一時釈放され、自宅の生活を送ることができますが、裁判の確定後はそのような、手続きはありません。
総理大臣でも、大学者であっても、皆平等に服役しなければならないのです。
交通事故の場合、懲役刑や禁鋼刑の場合は、三月から一年六月の間の刑期が多いのですが、一〇月以下の場合には、自宅に近い刑務所で雑役(掃除、食事、長期服役者の雑用など)に従事させられるのが、現状です。
世間的には、交通事件の場合には、全員が交通刑務所に入るかのごとく考えられておりますが、そのようなことはありません。
交通刑務所に入れるのは、交通事件者のほぼ四分の一くらいのものです。
交通事件以外に前科前歴とされるものがないこと、刑期が比較的長期で教育に適するものであること、知能指数などの高いといった条件を備えた者でないと、交通刑務所には入れてもらええないようです。
交通刑務所は、市原刑務所、加古川刑務所、豊橋刑務支所、尾道刑務支所、大分刑務所、山形刑務所、函館少年刑務所、西条刑務支所などです。
服役者は、まず呼び出しのあった検察庁に出頭します。
ついで、近くの刑務所に収監されます。
そこで、分類のための調査がなされ、それに応じた刑務所に送られます。
したがって、服役段階では、どこの刑務所に入るかは不明です。
入所の際に着用していた衣類や、所持品はすべて領置され、下着からすべてが官僚品になります。
出所の時にこれらの物品は返還になりますが、入所の時には、体一つで行ったほうがよいようです。
タオル、手拭などは無地のものは、持参して使用を許されることもあるようです。
所内の処遇は、すべて「行刑累進処遇令」に定められています。
生活は第四級から始まります。
そこから、成績に応じて順次昇級していきます。
食事の量から、面会・文通などもこの級によって異なっています。
そのため、入所当時は面会や文通は一回しか認められませんので、なにかと外部の生活(家事、会社、取引先)に支障が生じますので、十分に準備し、協議して服役しなければなりません。
服役の態度が良好で、一級に達しますと、仮釈放の適用がある場合があります。
三、四月程度の短い刑の場合はありませんが、数か月以上の刑の場合は、刑期の三分の二以上を経過しますと、その村象になってきます。
この場合に、出所後の生活先が確定していること、示談ができていることなどが、有利な条件とされています。
交通事件の防止のため、裁判所の交通事故者に対する処罰は厳罰(見せしめ)化の道をたどっていましたが、ここ数年、さらに厳しくなってきています。
そこで、処分の内容、主として罰金刑、懲役刑の執行がどのように行われているのかを、みてみました。
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