肝硬変の治療
腹水や昏睡、出血などの癌状のない状態を代償性といい、代償性の肝硬変の場合は通常勤務も可能ですし、一般の肝臓用薬の服用で十分です。
ウルソ、グルタイド、プロヘパール、EPL、小柴胡湯などです。
さらに、肝硬変の場合にはビタミンの肝臓内でのストックが少なくなるので、総合ビタミン剤などを飲んで、それらを補います。
なお、食道静脈瘤、腹水、肝性昏睡などがある場合は非代償性といい、以下のような治療が行われます。
食道静脈瘤というのは、食道の静脈がこぶのようにふくらむことです。
なぜ食道の静脈がふくらむのかは、肝硬変で肝臓が硬くなったために、肝臓に血液が入れなくなるからです。
血液は門脈という血管を通って肝臓へ入るのですが、その門脈が肝臓の中で通りが悪くなってしまうために、ちょうど交通渋滞のようになって血液があふれてしまいます。
そのため、入りきれない血液はわき道を通るようになります。
そのおもなわき道が食道静脈なのです。
肝硬変での死亡の原因の第一は、食道静脈瘤破裂です。
肝硬変の治療は、まずこの食道静脈瘤破裂の予防を行うということになります。
予防としては内視鏡的結さつ療法を行います。
これは、内視鏡でみながら、その先端から小さなゴムリングを出して、静脈瘤をそのリングでしめつけてしまうものです。
この方法で、静脈瘤はくさってポロリととれて治ります。
また、硬化療法もあわせて行い、硬化療法は、ファイバースコープを入れて静脈瘤に針を刺し、血管や周りの組織を固める物質を注入します。
この操作を数日に1回ずつ、計3回から4回行うと、静脈瘤はすっかり治り、出血する危険はなくなります。
これらの治療を行った数日間は、痛み、発熱、のどの通りの悪さ(ものが飲み込みにくい)などを感じることもありますが、一時的なものです。
また、予防のため、食道離断術という手術を行うこともあります。
これは食道静脈瘤を切って流れを止めてしまう手術です。
この食道静脈を通る血液が増えたため、静脈がこぶのようにふくれ上がり、そのうち破裂するということになります。
肝硬変の場合、おなかに水のたまることがあり、これを腹水といいます。
腹水がたまると、1日で1キログラムも2キログラムも体重が増え、腹が苦しくなり、食べるとすぐ腹がふくれるので食べられなくなります。
腹水がある場合には、まずなんといっても安静にすること、じっと横になって静かにしていることが大切です。
次に塩分を減らすことで、塩分をとりすぎると、食塩に含まれるナトリウムが細胞の外にたまり、おなかの中に水分がたまってくるからです。
みそ汁、漬け物、つくだ煮などは口にしない、しようゆ、塩を料理にほとんど使わないようにすることです。
塩分は1日5グラム(場合によっては3グラム)とし、これは薬を飲むよりも先に行わねばならないことです。
といっても、食物の中にはもともと塩分が含まれていますし、どう料理してよいかわからない場合があります。
入院中は栄養士がきちんと計って食塩量5グラムの食事をだしてくれますからよいのですが、家にいる場合には困ることがあります。
食塩量を計る器械もありますが、やはり自分の舌で覚えることが第一です。
1日塩分5グラムというのはどういう食事か、入院して味わってみるのです。
人間の感覚は意外に敏感なもので、一度味を覚え、慣れてしまうと、二度と濃いみそ汁などは口にしたくなくなるものです。
次に大事なことは水分量の制限で、塩分さえ制限すれば水はいくら飲んでもよいということにはなりません。
1日1リットルにすることです。
これはお茶も汁も点滴も、薬を飲むときの水もすべて含めて1リットルです。
これはコップ5杯分に相当し、夏など汗をかいたときは、そのぶん余分に水を飲んでもよいのですが、こうすることによって体内の余分な水分が血管内にもどり、尿として出てゆくのです。
その次にはじめて利尿剤を服用します。
アルダクトンAを2錠程度から始め、効き目をみて3錠、4錠と増やすことがあります。
場合によってはラシックスを1錠、それも1日おきぐらいに追加することがあります。
薬すべてがそうですが、なるべく少量で効果のある適切な量で服用するというのが原則です。
血液中のアルブミンの量が少ない場合にはアルブミン製剤を点滴の形で補う場合があります。
これも必要最小限にします。
これらの治療で腹水は改善します。
あとは食事の塩分制限と水分制限を守り、少量の利尿剤を服用します。
脳症の治療はまず便秘を治すことです。
便秘は肝性脳症、つまり肝性昏睡の誘因となるものです。
便秘薬を飲み、便通が毎日1〜2回はあるようにしておきます。
昏睡になって救急車で来られた場合、まず浣腸をして便をどっさり出しただけでも意識が回復する場合があります。
次にアミノレバン500ミリリットルを点滴します。
また、ラクツロースを注腸(浣腸のようにして肛門から腸に入れる)で入れる場合もありますが、これらの処置で、肝性昏睡は大部分改善します。
救急車で来られても、帰りは自分で歩いて帰れる場合も少なくありません。
吐血はある日、突然おこり、これは、きわめて危険なもので、吐血すると洗面器1杯から2杯分の血液がいっペんに出て、その場で8割ぐらいの人が死亡します。
すぐに救急車を呼び、専門病院で治療を受ける必要があります。
病院では、ただちにショックに対する処置を行うとともに、鼻からチューブを入れ、風船のようにふくらまし、食道静脈瘤を圧迫して止血します。
これをゼングスターケン=ブレイクモアチューブといいます。
それとと同時に輸血、輸液なども行い、全身状態の回復に努めます。
問題は食道静脈瘤をつぶし、止血し、再出血のないようにすることです。
そのためには内鏡的結さつ療法や硬化療法が行われます。
これによれば、開腹、開胸はせず、内視鏡だけで治療するのですから安全性も高く、しかも効果も確かです。
もともと肝硬変があり、肝機能が落ちているのですから、なるべくなら肝臓の負担を軽くし、それでいて効果のよい方法が用いられるべきです。
またPTOといって、緊急に肝臓内にカテーテルを入れ、食道静脈瘤に流入する血管に薬剤を注入し、血流を遮断する方法もあります。
肝硬変はけっして終着駅ではありません。
現在は治療方法も進歩しており、肝硬変といわれても10年も20年も長生きしている人もまれではありません。
本人の心がけと治療ひとつで、病気も克服することができるのです。
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