B型慢性肝炎とその治療
A型肝炎は慢性にはなりません。
B型とC型.D型は慢性肝炎になることがあり、E型は不明です。
D型はわが国にはほとんどないので、結局慢性肝炎はB型とC型のみであるということになります。
B型は、大人になってから感染した急性肝炎からは慢性肝炎にはなりません。
4歳以下の感染でウイルスを持続的にもっている状態(ウイルスキャリア)が発症した場合、慢性肝炎になることがあります。
それも、発症するのは10人に1人です。
B型肝炎の場合、肝臓の数値が高い状態が続くのですが、治る見通しはあるのかどうかが気になります。
その見通しを決める方法があります。それは、HBe抗原とHBe抗体、そしてDNAポリメラーゼ(ウイルスの増殖に必要な酵素)をみることです。
HBe抗原が消えて、HBe抗体が出現すれば、肝炎は鎮静化します。
AST・ALTは基準値となり、慢性肝炎は治り、正常肝に近い状態となります。
ではHBe抗原はいつ消えるのかについて、それはDNAポリメラーゼをみればわかりますDNAポリメラーゼとは、B型肝炎ウイルスの増殖の指標なのです。
ですからDNAポリメラーゼが1万とか3000とかの値ですと、ウイルスはまだ増殖している、まだ消えないということになります。
しかし、DNAポリメラーゼが200とか50とかになると、もう増殖しなくなってきたということがわかり、まもなくHB2抗原は消えます。
すると、HBe抗体がでて、AST、ALTはピタツと基準値になるのです。
慢性肝炎の治療では、まず安静療法と食事療法(87頁参照)を指示どおり守ることが大切で、そのうえで、必要があれば、肝臓のはたらきを助け、回復力を高める次のような薬(肝臓用薬)を使って治療します。
ウルソは熊の胆と同じ成分のウルソデスオキシコール酸で、1日3〜6錠服用します。
AST・ALTの改善に効果があります。
プロヘパールは肝加水分解物、すなわち肝臓を酵素で分解した成分で、1日3〜6錠服用します。
服用すると、AST、ALTなどの肝機能検査値の改善がみられます。
グルタイドは肝臓の解毒機能を高める薬で、1日3錠服用し、注射薬もあります。
EPLは細胞膜の構成成分であり、細胞膜を安定化させる作用があり、1日3〜6カプセルの服用です。
その他、肝内のビタミンが欠乏しますので総合ビタミン別の服用でそれらを補います。
注射薬としては強力ネオミノファーゲンCが使用されます。
漢方薬としては小柴胡湯、十全大補湯、六君子湯などが用いられます。
強力ネオミノファーゲンC(強ミノC)は、静脈注射(静注)による治療法です。
1筒が20ミリリットルですが、通常それを2筒、40ミリリットル静注します。
それでも効かないときは5筒、100ミリリットルまで使用が認められています。
この薬には、グリテルリテン、L−シンステイン、アミノ酢酸などが含まれていて、AST、ALTを改善し、肝臓の炎症を抑えます。
他の内服薬などで効果のないとき、すなわちAST・ALTが200とか300の値から下がらないとき、この治療を行います。
はじめは、原則として毎日静注し、ほぼ正常値になったら週3回とします。
それを1か月以上つづけ、それでも基準値に近い値のままであったら、週2回、週1回とし、やめるということになります。
注意すべきことは、途中で中断しないことで、急にやめると、AST・AlTが上昇します。
副作用はほとんどありませんが、血圧が上がることがあります。
B型慢性肝炎を根本的に治すには、B型肝炎ウイルスを追い出してしまえばよいわけです。
ウイルスを追い出す薬、すなわち抗ウイルス薬のひとつがインターフェロンです。
具体的には、HBe抗原を陰性にしてしまうことが目的で、HBS抗原が消えるのはずっとあとになりますが、HBS抗原はそのままでもいいので、とにかくHBe抗原が消えれば肝炎は鎮静化します。
HBe抗体が逆に陽性になれば、なお確かであるということになります。
インターフェロンにはα、βなど、いくつかの種類があります。
αには「遺伝子組み換え型」のα2aとα2b、そして「天然型」のインターフェロンαがあります。
これらはいずれも筋肉注射で使用されます。
インターフェロンβは「天然型」で、静脈注射用のインターフェロンです。
これらは、効き目としてはほぼ同じです。
どういう時期に使うとよいかについて、それは、DNAポリメラーゼが1000以下の場合、AST・AlTが中等度に高い場合(100前後)です。
DNAポリメラーゼが3000とか1万の場合は有効ではありません。
また、AST・ALT値がまったく正常の場合も有効ではないようです。
連日、4週間投与が一般的で、毎日注射するので入院が原則です。
インターフェロンが効いてくると、まずDNAポリメラーゼが低下し、ゼロになり、HBe抗原が消えます。
すると、AST・ALTが正常化します。
さらにHBV・DNA(ウイルス遺伝子)が陰性化します。
しかし、その有効性は必ずしも高いものではなく、HBe抗原の消失は投与直後20パーセント、半年から1年後は40パーセントです。
経口で服用する抗ウイルス薬として、ラミブジンが用いられてきましたが、服用中に薬剤が効きにくくなる変異ウイルスが出現することなどもあり、現在は、主としてエンテカビルが用いられています。
一般的にはHBe抗原が消え、HBe抗体が出現すれば肝炎はおさまり、感染性もなくなるのですが、まれにHBe抗体が陽性でも肝炎がつづき、感染性も高いことがあります。
これは、B型肝炎ウイルスが変化したためで、ウイルスが変異株になったといいます。
この場合は、HBe抗原が消え、HBe抗体が陽性なのにウイルスは増殖をつづけ、肝炎はなお進行していますので、インターフェロンの治療を考慮する場合があります。
またこの場合は、たとえHBe抗体が陽性でも感染性がありますので、出産の際には子どもにワクチンを打ち、結婚、針刺し事故の際にもワクチンを打たなくてはなりません。
その見分け方は、HBe抗原陰性で、抗体が陽性なのに肝臓が悪い、DNAポリメラーゼが高い、HBV・DNAが陽性であるということで、こういう場合は注意が必要です。
数値も飲み過ぎも気にならない!肝臓の栄養素を凝縮したレバリズム-L
Amazonで肝臓をいたわる
楽天で肝臓疾患薬ネオレバルミンが激安 |
|