C型慢性肝炎の治療

C型慢性肝炎の治療

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C型慢性肝炎の治療

C型肝炎ウイルスによる肝炎で、AST(GOT)、ALT(GPT)など肝機能検査値の異常が6か月以上つづく場合をC型慢性肝炎といいます。

C型慢性肝炎にも、活動性といって進行しやすいものと、非活動性の進行しにくいものとがあります。

活動性かどうかの専門的な判断は、肝生検を行ったうえで、肝臓の組織はどうなっているのか、肝細胞はどのくらいこわれているのか、炎症細胞は多いのか、線推は増えているのかなどをみたうえで決めるのですが、すべての人に肝生検を行うわけにはいきません。

そこで、慢性肝炎の進み具合、軽いのか重いのか、進んでいないのか進んでいるのかの目安は、次のように判断されます。

軽い慢性肝炎 肝生検をすると、活動性でない肝炎か、または活動性でも軽いものです。

一股的に、AST・ALTは80以下で、血小板数が基準値15万以上を示しています。

活動性の慢性肝炎 肝生検をすると、活動性の肝炎に入るもので、一般的にはAST・ALTは80以上の高値で、血小板数は10万から15万の間にあります。

肝硬変 どこまでが慢性肝炎でどこからが肝硬変かの境はむずかしいのですが、血小板数10万を境にして、それ以上は一応慢性肝炎、それ以下は肝硬変と診断されます。

血小板は、出血を止めるはたらきをもっている血液中の成分で、脾臓にたくわえられており、肝硬変になると、脾臓に行く血流量が多くなり、そのために脾臓が大きく腫れてきます。

そうすると、脾臓にたくわえられる血小板の量が多くなり、血液中に少なくなります。

肝硬変になると脾臓が大きくなる、すると血小板数が減る、そこで血小板数が減っていると、肝硬変を疑うということになるのです。

慢性肝炎の進み方によってちがい、軽い慢性肝炎であれば、10年間で1〜2割の人が、活動性の慢性肝炎であれば10年間で5割の人が肝硬変になるというのが、さまざまな統計の結果です。

別な見方をすると、軽いものでは10年たっても8〜9割の人は肝硬変にならないということになります。

いずれにせよ慢性肝炎は根治すべきですし、そうでなくても重い慢性肝炎は軽いものにしてしまえれば、肝硬変になるのを防ぐことができるということになります。

C型慢性肝炎をひきおこしているのはC型肝炎ウイルスで、このウイルスのために肝炎がおこっているのですから、インターフェロンを使って、ウイルスを除去してしまうのが根本的な治療となるわけです。

インターフェロン治療が行われるのは、慢性肝炎が活動性で、C型肝炎ウイルスがHCV・RNAとして血液中に証明されている場合です。

活動性の慢性肝炎かどうかは、肝生検で確かめなくてはなりません。

しかし最近、1年以上AST、ALTの異常値がつづいているという慢性肝炎の証明があれば、必ずしも肝生検は必要でないことになりました。

AST・ALT値がまったく正常の場合は、インターフェロンによる治療は必ずしも行われません。

しかし、数か月ごとに様子をみて、少しでも数値が上がる場合にはインターフェロンの投与を考慮します。

しかし、肝硬変には適応になっていません。

さらに、うつ病になったことがある人、ぜんそくなどの呼吸器疾患のある人には使用しないことになっています。

現在のインターフェロン治療は、ペグインターフェロンとリバピリン併用療法が標準となっています。

ペグインターフェロンは、ポリエチレングリコールを結合させて改良したインターフェロンのことで、作用時間が長く、週1回の投与で効果があります。

従来のインターフェロンは週3回の投与が必要でしたので、それに比べると、通院も楽になり、副作用も、従来のインターフェロンに比べて、発熱などが少なくなりました。

リバピリンは経口的に服用する薬ですが、ウイルスの増殖を抑え、インターフェロンといっしょに投与することによって抗ウイルス作用が増強します。

ペグインターフェロンのα2bとリバピリンとの併用療法によるウイルス陰性化率(ウイルスの除去率)をみると、投与終了後24週目で47.6パーセント、治療完遂例(必要な期間すべてに投与されたケース)では、62.5パーセントでした。

また、以前に他のインターフェロンが投与されたことのない例では、陰性化率が43.1パーセント、以前投与されて1度はウイルスが消えたあと、再び出現し、今回この治療が行われた例では、62.6パーセントと、よい成績を示しました。



ペグインターフェロンは、体重1キログラム当たり1.5マイクログラム(体重46〜60キログラムの人なら80マイクログラム)を、週1回皮下に投与(注射)します。

投与期間は48週間です。

リバピリンも体重によって投与量が決まり、たとえば60キログラムの体重であれば800ミリグラム(200ミリグラムの錠剤を朝・夕2錠ずつ、1日計4錠)を服用します。

期間はやはり48週間です。

はじめから外来で通いながら注射をつづけてもいいのですが、高齢者や女性の方などは発熱、その他の副作用も考えて、はじめの2週間程度、入院することも考慮します。

週1回、外来に行き、まず血算と血液像の検査(血球や血小板をしらべる検査)を受けます。

15分程度で結果がでますので、貧血はないか、白血球、血小板数に異常はないかを確認したうえで、インターフェロンの注射を行います。

そして、月に1回程度、血液中のウイルス量を測定します(HCV・RNA定量リアルタイムPCR)。

このHCV・RNAが陰性になったら、「ウイルスは完全に消えた」ということになるのです。

全体としてのウイルスの陰性化率は40〜00パーセントと高く、結果として10人のうち6人はウイルスが消えるということになります。

これは以前のインターフェロンに比べ、かなりよい成績です。

投与開始4週の時点で、HCV・RNAが消えれば、将来完全に消えるであろうという予測が立ちます。

さらに12週のルール(規則)というのがあります。

これは、投与を始めて12週目、およそ3か月までにウイルスが消えれば、その人は将来ともにウイルスが完全に消えたままとなるであろうということです。

ですから、十分に治療を継続します。

投与を開始して12週たってもウイルスが消えずに、(+)のままであった場合は、投与をつづけても将来ウイルスの消える確率は少ないので、12週で投与をやめることも考えます。

念のため、24週まで投与をつづけることもあります。

これまでの話はすべてウイルス1型に対してのことで、セログループ2型、すなわちゲノタイプ2a・2bに対するインターフェロン療法について、ウイルス量が多い場合、すなわち100KIU/ミリリットル以上の場合は、ペグインターフェロンとリバピリンの併用療法を24週間行います。

ウイルス量が少ない場合100KIU/ミリリットル以下は、ペグインターフェロンの単独療法で十分、リバピリンは不要となっています。

いずれにせよ、ゲノタイプ2a・2bはインターフェロンが効きやすく、80〜90パーセントの方でウイルスが消失します。

インターフェロンの副作用としては、はじめのうち発熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、全身倦怠感、食欲不振、悪心、下痢などがあります。

発熱は38度前後で、数か月間みられますが、解熱剤で改善します。

また、投与を続けるうちに、からだが慣れて、しだいに症状は軽くなってきます。

白血球、血小板の減少がインターフェロン投与中にみられますが、その程度により投与量が調節されます。

軽い脱毛がみられることがありますが、毛髪が櫛につく程度で、全部抜けることはまずありません。

投与量の減量か投与中止で回復します

うつ状態(1パーセント)になることがあります。

以前うつ状態になった方には投与いたしません。

うつ状態になっても、投与を中止したり、抗うつ薬投与により改善します。

甲状腺機能克進症、甲状腺炎などの自己免疫疾患、心筋障害、尿たんばく陽性、そのほか間質性肺炎などがみられることがありますが、きわめてまれです。

リバピリンの副作用としては、生まれてくる子どもに形態異常がおこる可能性があります。

したがって、妊婦または妊娠している可能性のある方には投与しません。

また、貧血がおこることがあります。

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