肝切除術とは
がんを含めたがん周辺の肝臓を切って取り去るのが肝切除術で、最も確実にがんを取り除ける方法と言えますが、ラジオ波焼灼療法などの局所療法や肝動脈塞栓術などにくらべて、体への負担が大きく、治療期間も長くなります。
一般に比較的肝臓の機能がよい患者さんで、がんが大きな場合や、がんが1つだけあるいは数が少ない場合に肝切除術が検討されます。
肝がんはB型・C型肝炎ウイルスを持つ患者さんから発生することが多いため、専門医の管理下で、肝がんの早期発見のための手法が計画的に行われています。
そのため定期的に医師の診察を受けている患者さんの場合、がんが発生しても早期に見つけることができるため小さく、多くはラジオ波焼灼療法で治療できます。
そのため最近では、切除術は減りつつあります。
しかし、通院が不定期でがんの発見が遅れるなど、すでにがんの大きさが4Cmを超えている場合は、ラジオ波焼灼療法で治療することはできず、切除術が検討されます。
また、がんはまだ2Cmほどと小さいが、すでに門脈に入り込んでいる場合、さらに肝臓の同じ区域内に転移によると思われる病巣が見つかった場合も肝切除術の対象となりますが、肝硬変が進み、腹水や黄疸がある場合などは、肝臓を切除することで肝不全を起こす危険があるため、肝切除は行いません。
肝臓は大きく左右2つの葉に分けることができ、さらに左葉は内側区と外側区の、右葉は前区と後区の計4つの区域に分けられます。
また、門脈から枝分かれした血管の支配する領域ごとに8つに分けることができ、これを亜区域といいます。
肝臓の切除術では、切除する量の大きな順に、右3区域切除、左3区域切除、右葉切除、左葉切除、区域切除、亜区域切除、部分切除、核出術などがあり、がんの大きさや数、部位、さらに肝臓全体の予備能の程度などによって選択されます。
近年、肝臓の表面のがんでは、腹腔鏡下での肝切除も行われます。
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