肝がんの治療
肝がんは、他の部位のがんにくらべて、手術以外の治療法が多く開発され、用いられており、その理由のひとつとして、肝がんの患者さんのほとんどが肝炎や肝硬変をかかえているということがあります。
肝機能が悪いために出血しやすく、また肝臓で作られる血液の凝固に必要なたんばく質も減っていて、出血したときに止血をするのも大変で、さらに肝硬変では肝臓が硬くなつていて手術そのものがむずかしいということもあります。
また、肝がんの場合、肝炎ウイルスの感染や肝臓組織の線維化といった、肝がんが発生する母地ができあがっているため、どうしても再発のためがん治療を繰り返すことが多くなります。
そのため手術では患者さんの体への負担が大きすぎるということもあって、手術以外の方法が多く行われる理由になっています。
肝がんの治療では、患者さんの負担の少ない内科的局所療法と呼ばれる治療法が広く行われます。
その代表としては、ラジオ波焼灼療法など、がんを熱して凝固させてしまう方法や、肝動脈塞栓術といった血流を断ってがんを壊死させてしまう方法などがあります。
肝がんは少し進行すると、門脈や胆管などの太い血管や管状の組織の中に広がることがしばしば見られます。
こうなると手術や内科的局所療法による治療はむずかしくなり、抗がん剤で治療する以外には方法がなくなります。
しかし進行した肝がんでは有効な抗がん剤が少なく、治療成績は高くありませんでした。
近年になって、インターフェロンと5−FUを併用し、リザーバーからカテーテルで肝臓の動脈に送り込む方法や、分子標的薬という新しい薬の登場で、抗がん割による治療も新しい一局面を迎えています。
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