肝臓は有害物質を解毒する
肝臓の役割の大きなもののひとつに解毒があり、文字通り、血液中に入り込んだ有害な物質を分解し、体に無害な物質に変える機能です。
無害化された物質は尿や胆汁の中に排出され、体外に出ていきます。
たんばく質は筋肉や内臓を作るために必要な栄養分です。
食事によって摂取されたたんばく質は、消化によりアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。
吸収されたアミノ酸は肝臓でさまざまなたんばく質として再合成され、体の至るところで利用されます。
小腸で吸収されずに残ったアミノ酸もあり、大腸で大腸菌により分解されアンモニアが発生します。
このアンモニアは吸収されて血液中に溶け込みますが、体にとってはとても有害な物質で、アンモニアが脳に回ると、肝硬変の末期や劇症肝炎の合併症として問題となる（肝性脳症）を引き起こします。
肝臓では、このアンモニアを分解して無害な尿素という物質に変えることが常に行われています。
尿素は腎臓を経て尿として体外に排出されます。
飲酒によって摂取されたアルコールも多くは肝臓で分解されます。
血中のアルコールは、肝臓の中でアルコール脱水素酵素（ADH）によって酸化されて、アセトアルデヒドという物質に変わります。
アセトアルデヒドは、アルコールより毒性の強い物質ですが、速やかにアセトアルデヒド脱水素酵素という物質により酢酸、あるいはさらに水と二酸化炭素に分解、無害化されて血液中に送り出され、体外に排出されます。
アセトアルデヒドは脳に影響を及ぼし、悪酔い、二日酔いの原因となります。
飲酒した翌朝に二日酔いが残る場合があるのは、アルコールの摂取量が多いため、肝臓による解毒機能が追いつかず、アセトアルデヒドがすべて分解しきれずに残っているということです。
治療で薬を飲んだときに、服用後一定時間でその効果が消失します。
これも肝臓の解毒作用によるものです。
二日酔いは、アルコールの量が多いため、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドが解毒しきれず血液中に残り、脳に影響を及ぼしている状態です。
そのような状況でさらにアルコールを体内に入れれば、肝臓にさらなる負担がかかり、状況が好転するどころか、体調は悪くなります。
二日酔いで迎え酒をして気分がよくなったような気がするのは、迎え酒として飲んだアルコールの影響で、脳がマヒをして不快感を感じにくくなっただけです。
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