プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法

プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法

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プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法

2011年11月にテラプレビルという飲み薬が保険適用になりました。

プロテアーゼ阻害剤というグループの薬で、ウイルス遺伝子のNS3という場所から産生されるプロテアーゼという酵素の働きを阻害します。

プロテアーゼはC型肝炎ウイルスが増殖するために必要な酵素で、この働きを阻害することでウイルスの増殖をはばみます。

ペグインターフェロンとリバピリンの併用に加えてプロテアーゼ阻害剤も利用したC型慢性肝炎の治療法が、プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法と呼ばれている治療法です。

ウイルスの遺伝子型が1bでウイルス量が多い患者さんに推奨されています。

治療期間は24週間で、治療開始から12週間はリバピリンを1日2回、テラプレビルを8時間ごと食後に飲みます。

さらに週1回ペグインターフェロンを注射します。

治療期間が12週間たったところでテラプレビルの服用を終え、以降12週間はペグインターフェロンとリバピリンを併用して治療します。

ペグインターフェロンとリバピリン併用療法の治療期間が1年から1年半であるのに対し、プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法は半年で治療を終えることができます。

副作用が少ない治療法ではありませんが、この治療期間の短縮は治療を受ける患者さんにとって大きなメリットです。



この治療ではテラプレビルをきっちり8時間ごと食後に飲むことが重要で、空腹時に飲んだのでは吸収が悪く薬の効果が出にくくなります。

また、服薬の間隔があくと耐性ウイルスが出やすくなり、また間隔が狭いと薬の血中濃度が高くなり副作用が出やすくなります。

問題はテラプレビルの副作用が非常に強いことで、強い貧血や肝臓の機能障害に加え、皮膚の湿疹など重度の皮膚障害となることもあります。

そのため日本では、肝臓の専門医であること、さらに皮膚科の専門医が同じ施設にいて、副作用対策で連携がとれることが治療の前提条件となっています。

テラプレビルを含む3剤併用治療では、患者さんの体質の遺伝子であるIL28Bと、ウイルスのコアの70番という遺伝子が、その治療効果に大きく影響していることがわかっています。

患者さんのIL28BがTT(メジャータイプ)の人では、この治療によって95%が治ります。

マイナータイプであるTGあるいはGGの人でも、ウイルスのコアの70番が変異のないタイプであれば50%ほどが治ります。

またウイルスのコアの70番が変異型であると、10%ほどの人しか治りません。

治療の経済的な負担や副作用の大きさを考えると、治療を受けるか受けないかの判断には、まず患者さんの遺伝子IL28Bとウイルスの遺伝子を調べることが必要です。

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